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第二章・7

「ね、ね。その人と付き合った?」 「詮索するな」  さて、と話はそこまでで慎也は立ち上がった。 「私は出かけなければ。途中まで、車に乗せていくぞ。どこがいい?」 「え?」 「言っておくが、もう昨日の街では商売をするな」 「あ……」  そうだ。  僕は、この人に抱かれて代金をもらった。  二人の関係は、これでおしまいなんだ。  途端に悠は、元気を失った。 (そうだよね。このままここに置いてもらうなんて、都合が良すぎるよね) 「じゃあ、二丁目」 「そこも、ダメ」 「そしたら、三丁目」 「ダメだ」 「だったら、四丁目」 「ダメ」 「どんだけ広いのさ!」  結局、市外まで車に乗って、そこで降ろされた。 「じゃあな」 「バイバイ」  フェラーリが道路彼方に見えなくなって、のろのろと悠は歩き始めた。  バッグには、百万円入っている。  しばらく稼がなくても、充分食べて行ける。  贅沢が、できる。 「でも……、でも!」  このまま思い出にしてしまうには、熱すぎた。  車の走り去った方向へ、悠は駆け出していた。

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