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第三章・7

「慎也さん、恋人いる?」 「いない」 「そうじゃなくって。恋人欲しい?」 「別に要らない」  話にならないよ、と悠は唇をとがらせた。 「そこは、欲しい、って答えなきゃ」 「要らないものは、必要ない」  ほとんど瞼を閉じながら、悠は慎也に訴えた。 「僕が、恋人になってあげても、いいよ」 「お前が?」 「うん。僕、慎也さんの傍にいたい……」  それきり、悠は眠ってしまった。  慎也のパジャマの裾を、しっかり握ったまま。 「やっかいな拾い物をしたな」  素裸の悠にパジャマを着せてやった。  起こさないように、そっと。  孤独な男の心の隙をついて飛び込んできた、野良猫。 「どうするかな」  私と関わり合えば、この子は危険にさらされるかもしれない。  しかし、傍に置いておきたい気持ちもすでに生まれているのだ。  寝ながら考えるつもりだったが、思いのほか疲れたのか、慎也もまたすぐに眠りに落ちていった。  大きなベッドに、二人で寄り添い、眠った。

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