23 / 68

第四章・2

「慎也さんの第二性は、αでしょ?」 「そうだ」 「やっぱり。当たったぁ!」 「……」  会話が続かない。 「僕の第二性は何か、とか訊かないのかな?」 「興味がない」 「少しは興味持ってよ。僕はね、Ω」 「そうか」  会話が続かない。  それでも悠は、自分からいろいろと慎也に話しかけた。  幼い頃から、Ωを理由にいじめられていたこと。  両親の虐待に耐え兼ね、家を出たこと。  いつか、大金持ちになりたいこと。 「なぜ、金持ちになりたいんだ」 「贅沢したいんだ。それに、今まで関わった人間を、見返してやりたいんだ!」  慎也さんみたいな、すごいマンションも買いたいな。  無邪気に夢を語る悠に、慎也は物憂げな口調だ。 「やめておけ。金持ちなんて、ろくなことが無い」 「どうして?」 「詮索するな」  慎也はそれで話すことをやめ、食事を終えて席を立ってしまった。

ともだちにシェアしよう!