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第四章・4
悠が慎也の隣に座ると、彼は重い口を開いて語り始めた。
「私には、弟がいる。血のつながりのない、腹違いの兄弟だ」
「僕と同じだ」
それには慎也が、少し驚いたような目をして悠を見た。
「父さんと、二番目の母さんとの間に生まれた子」
「それが虐待の原因か」
「うん。二人とも弟ばっかり可愛がるんだもん。嫌になっちゃうよ」
そして悠は次第に疎まれ、ぞんざいに扱われるようになった。
「殴られたり、ご飯くれなかったりした」
「そうか」
「うん」
それより、と悠は慎也を見上げた。
「慎也さんの話をしてよ」
そうだな、と慎也は膝に腕を乗せて指を組んだ。
「親父が、莫大な遺産を残して死んだ。それは遺書によって、私と弟に分配された」
「奥さんは?」
「先立って、すでにいない」
悠は慎也とは逆に、ソファの背もたれに体を預けて、それを聞いた。
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