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第六章・7

 ことん、と悠が慎也の肩に頭を預けた。  さらりと髪が、首筋に触れる。  いい匂いだ。  我知らず、慎也はその形の良い小さな頭を手で抱いた。 「慎也さん」  震える声に、慎也は眉根を寄せた。 「なぜ、泣く」 「このまま時間が、止まってしまえばいいのに」  慎也は、言葉を探した。  選べる言葉は、一つしかなかった。 「そうだな」  このまま時が止まれば、二人は永遠に一緒にいられるのに。  ぎゅっ、と悠は瞼を閉じた。  涙をしぼり、もう流れ出ないようにした。  そして、勢いよく頭を上げた。 「ね、慎也さん。寝室に行こう。エッチしよう!」 「豹変するな。泣いてたんじゃなかったのか」 「泣いても、仕方がないもん。それより、いっぱい触れて欲しいよ。いっぱい愛して欲しいよ」  悠らしいことだ、と慎也はにっこり微笑んだ。  いつもの苦笑いではない、優しい笑顔。  そして悠に手を引かれ、寝室へ入った。  花々で飾られた、大きなベッドへ身を投げ出した。  シーツの海で二人、魚になって泳いだ。

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