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第八章・7
どこだ、ここは。
気持ちのいい、風だ。
「ああ、ここは以前に悠と一緒に来た……」
南の島へと、慎也の心は飛んでいた。
美しい、この世の天国。
ここで私は、彼に愛され、彼を愛した。
「全ては、美しい思い出、か」
瞼を閉じようとする慎也を、無理に起こそうとする声が聞こえる。
『僕、慎也さんと一緒じゃなきゃ、ダメになっちゃった』
「ダメなのか? 私がいないと」
「うん。だから、帰って来て。南の島へは、行かないで」
「いやしかし。こうして銃で撃たれた」
「慎也さんなら、平気だよ。そんなの」
待てよ。
確かに……。
胸に衝撃を受けた時、それが致命傷になると思った。
しかしそのポケットには、悠がくれたジッポーライターがお守り代わりに入れられており、弾丸を逸らしてくれたのだ。
「悠のお守りが、本当に私の命を救ってくれたんだな」
「そうだよ。だから、ねぇ。そろそろ起きてよ」
「起きたら、目覚めのキスを頼む」
「何度でも、してあげるよ」
慎也は、蘇った。
「悠が、待ってるからな」
にやり、と苦笑いをして、復活した。
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