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第九章 もう戻れない恋を愛というんだ
「神様って、ホントにいるんだね」
見事に凹んだジッポーライターを手に、悠はそうつぶやいた。
弾丸を逸らし、胸への致命傷を未然に防いだライターと言えば、そう考えても無理はなかった。
ただ、慎也の感想は少しだけ異なっていたが。
(南の島の神が、私を救ってくれたのではないだろう)
「ありがとう、悠」
「え? 何、突然!?」
「君が呼んでくれたから、こちらに戻って来られたよ」
ああ。
僕のお祈り、神様にも慎也さんにも届いてたんだ。
「聞こえたの? 僕の声」
「聞こえた」
それから、こうも言った。
「起きたら、目覚めのキスを何度でもしてくれると言った」
「ぼ、僕! そんなこと言ってないし!」
「してくれないのか? キス」
「……いいの?」
病院のベッドに横たわる慎也に、悠はそっと唇を重ねた。
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