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鍵屋さん以外が持つと違法です。

「ッ待て!信…っ、」 「待てるかっ!早くしないと葵が…、ッ、」 葵が倉庫の中へと連れ込まれたことに我を忘れ―― 信は未だに自分の腕を掴む仁の腕を振りほどいて葵の後を追おうとするが 仁の手は離れず… それどころか仁は掴んでいる信の腕を強く引っ張り、信を自分の方に向かせると 肩を掴んで信と向き合う 「いいから落ち着け。一刻も早く弟を助けたい気持ちは分かるが――  車の中でも言った通り先ずは侵入経路を探さないと…  敵の数も分からないのに正面から殴り込むわけにもいかんだろ…」 「ッ、知るかっ!中に何人いようが全員俺が――」 「信。」 「…ッ、」 自分の事を真っ直ぐに見つめる仁の視線に 流石に自分でも頭に血が上りすぎていることに気がつき―― 信は気まずげに仁から視線を逸らす… そこに仁が信の肩に置いた手をスッ…と離しながら口を開いた 「…兎に角…倉庫の裏手に回って他に入れそうな所がないか探ってみよう。」 「ッ……分かった…」 信はやはり気まずげに仁から視線を逸らしたままそう言うと 二人は葵が連れ込まれた倉庫の裏手に向かって歩き始める 「…先ほど女性を連れて此処を出て行ったヤツが3人…  そして今わかっているのは  倉庫の中にはお前の弟を含めた5人が居るって事だけは確かなんだが――  問題は他にもまだ…  この倉庫の中に人が居るかどうかなんだが……信?」 「んっ!?ああ…スマン…ちょっと葵の居場所を確認してた。」 仁が振り返ると信は何やら真剣な表情でスマホを弄っていて―― 仁がソレに気がつき、怪訝そうに声をかけると 信は慌てた様子で顔を上げてそのスマホをスラックスのポケットにしまい… 何事もなかったかのように仁に話を切り出した 「なぁ…ところでお前さっき――  車ん中で“お前の件も含めて調べてた。”って言ってたよな?  ――て事は…」 「……兄についても調べてた。」 「やっぱり…  じゃあ…誠さんがバウンティハンターになっていた事も――」 「ああ…最近やっと掴めた情報だがな。  だがお前の弟を狙っていたなんて事までは流石に…」 「…分かってる。  俺もそこまでお前を疑っちゃいない。」 ―――大体俺自身今朝知った事だからな…葵が狙われているの… 今朝見た懸賞金のビラを思い出し…信が胸糞の悪さを感じてその顔を顰める中… 仁が何かを見つけて信に声をかけた 「信…あったぞ。裏口。」 「ん?」 見れば灰色のコンクリートの外壁にポツンと シルバーのドアが建て付けてあるのが見え―― 信が急ぎ足でそのドアに近づくと、早速ドアノブに手をかける しかし… 「駄目だ…鍵がかかってる…」 ―――やっぱ正面突破… ガチャガチャと…こっそりと侵入を試みているはずなのに 信は周りに音が響くのも構わず…イライラした様子でドアノブを回す… そんな中、仁が背後から信の肩にポンと手を置き 「ちょっと退いてろ。」と言って信を後ろに下がらせ信と場所を入れ替わると 仁は上着の内ポケットからおもむろに黒の収納ポーチを取り出し そこから一本のちょっと太いペンのような道具を取り出す 「?」 信が不思議そうに仁の動向を背後から伺う中… 仁はその場にしゃがみ その太いペンのような道具の先っちょを鍵穴に差し込み側面のボタンを押す すると鍵穴に差し込んでいる部分が カチカチカチ…といった音を立てて回り出し―― カチッ、 「開いたぞ。」 「!?」 仁が先ほど使った道具をポーチにしまい スクっとその場から立ち上がりながらドアノブを回すと ドアは呆気なく開き―― 「…ホラ、入るぞ。」 「ちょっと待てお前…さっきのアレは…」 「ああ…支給品だ。気にするな。」 「…ピッキングツールがか?  どこの世界にそんな違法なもんを支給品として持たせるケーサツが居ると…」 「…この一刻を争っている時に…随分と細かい事を気にするんだな?お前は…」 「…うるさい。」 「そんな事よりホラ…急がなくていいのか?」 「ッ!そうだ葵…っ!」 そう言うと信は仁を押しのけ、慌てた様子で倉庫の中へと駆け込んでいき―― ―――だから…中にあと何人いるのかも分からんのに    そんな注意力散漫な状態でバタバタと駆け込んだら    中の奴等に気づかれるだろう…    こりゃあ…正面突破と変わらん展開を覚悟すべきだな… 「ハァ…」と仁はひっそりと溜息をつくと 信に続いて倉庫の中へと足を踏み入れた…

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