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7勝17敗3引き分け。

―――葵…っ! 信が裏口から周りも見ずに勢いよく倉庫内に飛び込むと 少し離れた壁に寄りかかる様にして、二人の男が談笑しながら立っていて―― 「ッ!?」 「っ誰だてめぇ…ッ!」 「チッ、」 二人の男が信の存在に気づき…狼狽えだしたその時 信は素早く二人のうちの一人の胸倉を正面からガシッと掴み 強く引き寄せながら男の身体を反転すると背後から男の首に腕を回し… もう片方の腕で男の首に回している腕をホールドしながら男の首を圧迫し始める 「ぐっ、、あがっ、」 「ッてめぇ…っ!」 するとそれに気づいたもう一人が男の首を締めあげる信めがけ… その手を伸ばした次の瞬間 「止めとけ。」 「ッ!?」 いつの間にか男の背後に立っていた仁が後から男の首に素早く腕を回すと やはり信と同じように首を圧迫し始め―― 「…ッ、」 「ぁ…、」 二人はほぼ同時に意識を失い… 信と仁はその二人を床の上に静かに寝かせると、倉庫の奥を目指して歩き始める 「…お前な。もう少し慎重に動け。」 「…結果オーライなんだから別にいいだろ?そんな事…  それよりさっき応援呼んだから…お前はもう帰って――」 広い倉庫の中には大小様々な箱や袋が納められた背の高いスチール製の棚が 一定間隔で幾つも立ち並び… 二人がそんな棚の合間を辺りに注意しながら先に進む中―― 信が棚の切れ目から角を曲がろうと、ちょっと棚に手を着いた瞬間 「あ。」 グラッ…と その棚は余程建付けが悪かったのかあり得ない程大きく揺れ―― 信が青ざめながらその棚を見ると 棚に収まっていた何箱かが反動で床に向かって落ちていくのが見え ―――やっちまった… ドサッドサッ!ガシャーン!と―― 棚から落ちた箱は盛大な音を立てながらその場に中身をぶちまけ… 「ッ!?何だっ?!」 丁度信が曲がった先の開けた場所には十人ほどの男たちが 何やら固まって話をしており―― その男たちが一斉に信の方へと振り返り… その視線がその場で固まる信に突き刺さる… 「…結果オーライ?」 「……いや…これはその――正直スマンかった…」 ―――棚の建付けが悪かったのは俺のせいじゃねーけどなっ! 信が引きつった笑みを浮かべ―― 仁が呆れた溜息をつく中… 男たちが一斉に信たちに近づき、取り囲む 「…何だお前ら…どっから入ってきた…?」 「あー…玄関から?」 信がふざけて返すと周りの男たちが極悪な人相でクスクスと笑い出し… 「面白い事言うねぇ~…アンタ…  けど――此処を見られたからには生か…」 「『生かしてはおかない。』…だろ?  ったく…悪役の常套句(じょうとうく)かよってくらい聞き飽きたわ。ソレ…  …他にセリフないの?…つまんねーな…」 「ンだと…」 信の言葉に周りの男たちが一斉に色めき立ち… 男たちの表情から笑みが消える 「…随分と粋がっているみたいだけど――  アンタまさか…この数に勝てるとでも?」 その言葉に、信の口角がニッと上がる 「ああ。よゆー…」 その顔にゾッとするほど綺麗で凶悪な笑みを貼り付けた信が 周りの男たちを一瞥しながら余裕綽々でそう言うと いよいよ男たちは殺気立ち―― 「ハッ!だったらその余裕…」 信と仁が背中合わせで身構える 「何処まで持つか試してやろうじゃねーかっ!!」 一人の男がそう叫ぶと同時に 信たちを取り囲んでいた男たちが一斉に襲い掛かる 「…信。」 「ああ…」 信と仁はバッと離れ―― まずは人の輪の外へ… 自分たちに襲い掛かってくる男たちを軽く()なしながら 信と仁は自分たちを取り囲む男たちの輪の外側へスルリと躍り出る すると仁が一人の男の腕を捩じり上げ―― 信の方を気にするようにチラリと見た後、声を上げた 「7回だ。」 「あ?何だって?」 信が自分に向かってくる男の顔面を膝蹴りで潰しながら怪訝そうに聞き返し 仁が捩じり上げた男の腕をボキッ…と容赦なくへし折り… その無表情を少し楽し気に綻ばせながら話を続ける 「お前がジークンドーの試合で――俺に勝てた回数。  7勝17敗3引き分け。」 「はあっ?!何だよ突然…  てかこんな時に何の話してんだよっ!」 別の男が再び信に襲い掛かり―― 信がソイツの腹に鋭い正拳を食らわせながら仁の方に目をやると 仁は実に楽しそうに微笑んでいて―― 「いや…中学から大学までの間…  模擬や正式含めたお前との試合で――  お前が俺に勝った回数って確か7回だったよな~…って事を  今、不意に思い出して。」 「フフッ、」と仁が微笑みながらまた一人… 相手の腕をあらぬ方向に捻じ曲げ―― 信がイラッとした様子で回し蹴りを放ち、二人の男を吹き飛ばすと 仁の方を向きながらムッとした口調で尋ねた 「何が言いたい?」 「フッ…こんな雑魚相手に負けるなよ?信。」 「…お前に言われなくても…」 「ックソがっ!!」 「死ねやっ!!」 二人の男が信に向かって殴りかかる 「誰が負けるかっ!!!」 信の咆哮が倉庫に響いた

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