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朝から試される忍耐。

「ん…」 葵がベッドの上で身じろぎながら薄っすらと閉じていた瞼を開ける… すると目の前には誰もが見惚れるような… 見ているコッチが(とろ)けてしまいそうになるくらいの甘い笑みを浮かべた信が これまた惚れ惚れする様な美しい上半身を惜しげもなく晒しながら 葵の事を見つめており… 「……のぼる…」 「……おはよう葵……起きたか?」 「ん…」 葵はまだ寝ぼけているのか トロンとした眼差しで信に微かな笑みを向けると 掛け布団を肩まで引っ張りながら 信の胸元に顔を埋める様にしてスリスリと擦り寄り… 猫のように擦り寄って来る葵に 信が小さく「オイオイ…」と呟きながら葵の肩に優しく手を添えると―― 困った様な笑みを浮かべながらその口を開いた 「…お前とこうやって何時までも微睡んでいたいのは山々なんだが――  今日から仕事なんだ…悪いが俺はもう――起きるぞ…?」 「ん~……ダメ。行っちゃヤダのぼる…  今日は会社休んじゃお…?…そして俺とずっとこーしてよ…?」 そう言うと葵は信を見上げながら悪戯っぽい笑みを浮かべ―― 向かい合っている信の足の上に、自分の足を重ねるようにして絡めながら ギュッと信の身体を抱きしめる… すると信が益々困惑した笑みを浮かべ… 「あー……葵さん…?」 「なぁ~にぃ~?」 「…俺達――素っ裸だという事をお忘れで?」 正確には 昨日二人は風呂から上がった後はバスローブを羽織っただけで 下には何も身に着けてはおらず… それ故今はもう…ほとんどバスローブが肌蹴てしまっている信の太腿の上に… やはり同じように肌蹴たままの葵が太腿を乗せながら足を絡めたせいで 葵のアソコが信の太腿に当たり―― 「めっちゃフニフニ…」 「コーフンしちゃう?いいよ?信。バッチこい。」 「何がバッチこいなんだ……  ってゆーか朝っぱらから興奮させるような事すんなっ!  これから会社なのに…、」 葵のモノが自分の太腿に軽く触れるつど… 信は妙な気分になり――慌てて葵の身体を引き離そうとする… しかし葵が突然そんな信の肩をグッと押し―― 「ッ!?ちょっ、、お…?」 信の視界がグン…と天井を向いたと思ったら その視界に葵がヌッ…と現れ… 「ダ~メ信……ここにいよ?会社なんか行かないでさぁ~…」 バスローブが完全に肌蹴… もはや上半身裸状態の葵が仰向けの信の上に(またが)り… 色艶を含んだ笑みと共に信の事を見下ろしながら 信の鍛えられた胸元に掌を這わせる… 「…何だったら昨日の続き……してもいいんだよ?」 「お前なぁ~……、ッ!」 信が肘をついてベッドからその身を起こそうとしたその時… あろうことか先ほどからの太腿からの刺激と 自分の胸を這う葵の手つきに興奮してしまったのか―― 緩く勃ち上がってしまった自分のモノが上に乗っかる葵の尻の谷間を擦ってしまい… 「ぁ…」 「ッ、すまんっ、」 予期せぬハプニングに信が焦り… 思わず自分の上に跨る葵を退かそうとその胸を押す しかし葵はそんな胸を押す信の手を掴みながら頬を赤らめ… 「良かった…」 「ッ!?なっ…何が…?」 「だって信――ちゃんと興奮してくれてるんだもん……  同じ男の俺でも…」 「ッ!“お前のせい”で俺が興奮すんのは昨日で“実証済み”だろうがっ!  改めて口に出して言うなっ……恥ずかしい…」 「ッのぼる…っ!」 今の言葉に… 葵は何だかジ~ン…と感動してしまい―― 信の手を両手で握りしめたまま熱っぽい眼差しで信の事を見つめる… すると突然… 何かに耐え兼ねた信が葵に握られている手を振りほどくと 上に跨る葵の両肩をグッ…と掴みながら上体を起こし―― 「ッ!?わっ、」 「ッ何時まで俺の股間に尻をくっつけとく気だ…っ、」 ボフンッ…と… 葵の身体は一瞬の浮遊感と共にベッドの上に押し倒され… 先ほどとは逆に自分の事を見下ろす信の顔を 葵はキョトン…とした様子で見上げる… 「のぼる…?」 「ッ…俺が忍耐強い事に感謝しろよ?……ったく…」 「………そんな忍耐……いらないのに…」 「…お前にとっては要らなくても、俺にとっては要るの!大人としてなっ!  そして今日は会社っ!こんなことしてる場合じゃねんだわっ!」 そう言うと信は色々振り切るようにしてバッ!と葵から離れるとベッドから降り… バスローブでキッチリと前を隠すと―― イライラとした様子で頭を掻きながら口を開いた 「ッ…シャワー浴びて来る。」 「あっ……じゃあ俺も一緒に――」 「!?ついくんなっ!  お前までついてきたら(おさ)まるもんも治まらねーだろーがっ!」 「…治まる…?」 「ッいいからっ!俺がシャワーから出てくるまで絶対入ってくんなよ?  絶対だぞ!」 「…フリ?」 「振りじゃねーよっ!」

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