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第10話
「サナ、いくら昼間は帯剣を許されているといっても、簡単に剣を抜くな。帯剣を許されなくなったら、俺たちは想像以上に不利になる」
「わかっている。ちょっとからかっただけだ」
サナは不貞腐れたように夫を見上げると、ふっと優しく目を眇められ、顎を取られてキスをされた。
夜は取り上げられてしまうが、サナたちは昼間、帯剣を許されていた。サーディンとは面白い男で、いつかサナたち殺されるのではないか? と思うとワクワクすると言って、昼の帯剣を許していた。
それだけ腕の立つ男たから、こんな余裕のあることが言えるのだろう。
サナは一度サーディンと件を混じえたことがあるが、基本をちゃんと習い、それなりに訓練を受けた印象を持った。
それから二人揃って食堂室へ行くと、とても海賊船の食堂とは思えない美しい光景が広がっていた、
両側に大きな鏡を何枚も張りつけたそこは、金で彩色がなされ、木造であることがわかるのだが品があり、ちょっとした城の食堂室のように美しい。
サナは昔、国軍の仕事で海賊船で寝泊まりしていたことがある。
その時の船内は、本当にひどい有り様だった
そこら中にゴミやワインの瓶が転がり、男臭く、強姦された女性が、呆然と涙を流しながらベッドで寝ている姿もたくさん見た。
そしてそのあと、女性たちは奴隷として働かされるのだ。蹴られたりからかわれたりしながら。
その様子があまりに目に余ったので、一度サナは海賊を切り捨てたことがある。
しかし幸い真夜中だったので、遺体は甲板から海に投げ捨てた。
海賊は海の上で暮らしている。
酒に酔って、海から落ちて亡くなってしまうこともしばしばだ。
サナが切り捨てた海賊も、そういう事故で処理され、サナは犯人として疑われることはまったくなかった。
ただ、ヒトや獣人を着ると血が出るので、その処理が大変だったが。
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