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第12話

 汗を浮かべて、元気に遊んだ様子のリンリンの額を、侍女が持ってきたタオルで拭いてやる。しかし、もっと遊びたいとハルカに我が儘を言いつつも、リンリンは眠たそうに目を擦っていた。 (これは食事中に寝るな)  母親としての勘でそう思ったサナはふっとハルカを見た。  するとハルカも、一国の王子の養育係として、サナと同じことを思ったのだろう。苦笑いをしてこちらを見た。 (まぁ、食事中に寝てしまったら、そのままベッドに連れて行けばいいだけだからな。今はそっとしてしておこう)  サナがそう思った時だった。 「リンリンはもう眠いんじゃないのか?」  ガーシュインが愛情を込めて、ニコニコと言った。 「本当ですね。あれだけ元気に甲板を走り回れば、疲れもしますか」  それに頷きながら、ハルカのパートナーであり、この旅に同行していた医師のリョウジが目を細めた。  するとリンリンは急に表情を引き締めて、彼専用に作られた魚の前菜を、モリモリと食べ始めた。 「そんなことないですのん! リンリン元気ですのん! 眠くなんかありませんのよ! お昼寝なんて絶対にしないんですのん!」 ((これだから男のアルファは!))  サナとハルカは、真白で清潔なテーブルクロスが敷かれた大テーブルの下で、ガーシュインとリョウジの足を蹴った。

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