15 / 102
第15話
しかも異国からやって来たハルカは、セルデンティーナ王国でも使われているソルニア語を、独特な感性で覚えてしまったため、リンリンもハルカが話す通りに、個性的なソルニア語を話すようになってしまった。
しかしそれも可愛いかと、ガーシュインもサナもそのままリンリンの言葉を直すことなく、目を細めている。
「――本当に済まないな、ハルカ。お前とリョウジまで、こんなことに巻き込んでしまって」
リンリンを間に挟むように、ベッドの両端に腰を下ろした二人は、ふっと視線を交わらせた。
「そんなことないですのん! ハルカちゃんは小さい時、海賊になるのが夢でしたし、リョウジも次々傷を負ってやってくる船員の面倒を見るのが楽しみたいですのん。だからそんなこと、気にしないでほしいんだわ」
「そうか、ありがとう。ハルカ。リョウジにも俺が感謝していたと伝えてくれ」
「はいですのん」
リンリンの養育係としてこの旅にパートナーと一緒に来ていたハルカは、もちろん海賊に捕まり、今のサナやガーシュインのような立場だ。
本来なら、こんなことに巻き込まれなくてもよかったのに……。
プライベートな船旅に誘ってしまったことを、サナは酷く後悔していた。
しかし、ハルカはいつもの明るい笑顔で笑うと、そっとサナの手の上に自分の手を重ねた。
「それにこう見えて、ハルカちゃん。母国では剣術と柔術で誰にも負けたことがないんだわ。だから安心して、海賊さんたちと一緒にワインが飲めるんだわ」
「そうなのか? それじゃあいつか、ひと合わせ願いたいものだ」
剣術や柔術では負けたことがないと聞いて、サナの血が騒いだ。
十二歳の時から、叩き込まれた戦闘の血が。
ともだちにシェアしよう!