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第25話

 そして甲板で遊ぶリンリンやハルカの様子や、海を眺めるサナとガーシュインの安心している表情など、事細かく記した文を、訓練された鷹に運ばせていた。  鷹を使った文の運搬方法は、この世界では当たり前のように利用されていた。  よって、足につけたカプセル状の筒に文を入れた鷹を、日に何度も見る。  それを知っているからこそ、海軍はこの手を使っていた。  もしサーディアン一団に鷹が見つかっても、なんとも思われないと考えたからだ。  そして、密かにこのことを伝えられたガーシュインの腹違いの妹、ニーナ・アン・セルドバルトは恋人のカルム・シャローンとともに、留学先のフィーゴ王国から帰ってきていた。 『二週間の予定で船旅に出た国王御一家が、ひと月以上経っても戻ってこない』と聞かされて。 「お母様、大丈夫よ。今日また海軍から鷹文がやって来て、リンリンが元気だと書いてありました」  母親の看病をしていたニーナは、ベッドで横になる母親の手を握った。  心労から母親は熱を出し、なかなか下がらない。    その熱い手を握りながら、ニーナは心配で痛む胸を隠しながら、優しく微笑んだ。 「本当に? リンリンは元気なのね?」  か細い母親の言葉に大きく頷く。 「はい。どうやら子どもには優しい海賊に捕まったようですわね、お兄様たちは」  そう、兄は海賊たちに捕まっているのだ。

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