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第27話

 しかし、彼の品のある物腰と優しい笑顔。  そして親が学者だというだけあって彼も博識で、その聡明さにどんどん惹かれていった。  そうして勇気を出して告白をしたところ、「まだ心の整理はつかないけれど、ニーナの気持ちには応えたい」と言われ、二人で彼の母国であるフィーゴ王国へ留学していたところだった。  今では、互いの気持ちを確かめ合う恋人同士となっていたが、勉学にもちゃんと励んでいた。    そんな平和で幸せな毎日の中で、突然兄一家が海賊に捕まったと聞かされ、ニーナは呆然とした。  最初は悪い冗談だと思ったのだが、国に戻り、上層部の慌てぶりからじわじわとこれは現実だと理解した。 (お兄様たちを救い出す良い手はないかしら?)  セルディンティーナ王国は陸の守りは鉄壁でも、海には狭い入り江がいくつもあり、敵から攻められにくい形状から、幾度もあった戦争でも、海からの攻撃を受けたことは少ない。  よって、今の海軍組織の力で十分守ることができたのだ。  そのことから慢心もあったのだろう。  海は平和なものだと思い、兄一家もプライベートな旅行だからと、護衛船を一隻しかつけなかったと聞いた。  確かに海軍にがっちり脇を固められては、旅行も堅苦しくて楽しめない。  その気持ちはわかる。

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