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第28話

 しかし、最低でも護衛船を三隻は着けるべきだったと、ニーナは考えていた。 (私がセルディンティーナにいれば、助言できたのに……)  そんな後悔まで募らせるほどに――。  今は密偵船が昼夜を問わず見守っているが、いつどんな状況になるかわからない。  唯一の救いは、船員が友好的らしいということだ。  水や食料も港に寄って、これまで手に入れてきた金品と交換して手に入れているようで、今のところ他の船を襲ったりしていることもないようだった。  しかも海軍からは、『地獄の海賊団』と呼ばれるには、あまりにも立派で美しい船に乗っているという報告が上がってきている。  表面は煤や黒ずみで汚れているが、綺麗に手入れし直せば、一国の王が乗るような豪華な船だと。  しかし、この船もきっと兄一家の白木の船同様、奪い取ったものなのだろう。  白木の船も、ロープに繋がれて行動を共にしているらしいので、兄一家の金品も奪われている可能性が高い。 「父から国王様に頼んでもらって、フィーゴ王国の海軍を出してもらうかい?」  カルムの提案に、ニーナは眉を寄せて首を振った。 「とてもありがたい提案だけど、フィーゴ王国は内陸地にある国だわ。川を警備する力はあっても、海で戦う力は我が海軍と同じかそれ以下だと思うの……」 「確かに……」

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