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第35話

「早くガーシュインに相談しないと……っ!」  サナはリンリンをさっと風呂に入れると、眠くてぐずる彼を根気よく、優しく背中をポンポンとし続けた。  リンリンは運動神経だけでなく、うつ伏せになって丸まって寝る……という癖をサナから受け継いで、同じように寝る。  このことにサナはまったく気づいていなかったのだが、ガーシュインに指摘されて知った。  二人とも寝相が一緒だと。  ガーシュインは、恋人同士だった頃から、変わらぬサナの寝相をいつも愛しげに眺めていた。  最初の内は恥ずかしくてもぞもぞしたが、今では彼に見つめられていても、サナは熟睡することができた。  慣れとは恐ろしいものだ。  そうして、ぐずっていたリンリンがスースーと寝息を立て始めると、サナはそっとベッドを抜け出し、ガーシュインを探して船内を走り回った。 「ガーシュイン!」  彼は甲板で優雅に紅茶を飲んでおり、ハルカとリョウジと談笑していた。 「どうした、サナ! そんなに血相変えて」 「大事なことに気づいたんだ」  ハルカとリョウジがいてくれれば、なおのこと心強いと、サナはガーシュインの隣に座った。  甲板にはまだ数名の団員がいたので、大きな声では話せないと声を潜める。 「サーディアンが、一度だけ俺たちの船に戻してくれることは聞いたか?」 「あぁ、今さっきハルカから聞いたよ」

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