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第40話
これはカルムに誘われて始めたのだが、彼女の世界をまた広げてくれ、良い刺激となっている。
城の中で大事に育てられて、いずれは他国に嫁ぐのだから……と、各教授から一般教養程度の授業は受けたものの、重きを社交界でのマナーやダンス、音楽や貴婦人の嗜みとなっている刺繍に置いてきた彼女にとって、大学へ通うことは夢だった。
(私が我が儘を言ってこの国を出てしまったから、代わりにお兄様たちに罰が当たってしまったのかしら……)
じわりと眦に涙が浮かんだ。
けれどもそれを気丈に拭き取ると、ニーナは迷信である不安を拭い去ったのだった。
***
昔々……いや、そう遠くはない昔。
ある国に、それは勇猛果敢な王子様がいました。
北方にある小さな国だったので、自国を守るために国軍は厳しく鍛えられ、中でも国境を守る軍隊は、大陸でも一、二を争う強さだと言われていました。
しかし、何度も攻め入ってくる隣国に兵糧攻めにされ、国王様と王子様は『国民には一切手出しをしない』という約束で、国を明け渡します。
けれども、そのような約束が守られるわけもなく、国を明け渡した途端に貴族は皆斬首刑にかけられ、赤い髪に緑の美しい目をしたオメガが多い国だったので、彼らや彼女たちは高額で売買されて、残りの者たちは奴隷のような扱いを受けながら、その国に吸収されてしまいました。
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