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第41話
国王様は真っ先に斬首刑にかけられたのですが、元隣国だった支配国の女王様が整った王子様の容姿を気に入り、王子様は城の髙い塔の上に閉じ込められると、毎夜女王様に呼び出され、愛のない行為につきあわされたのです。
こんな生活に、王子様はみるみるやせ細っていきました。
そして死を覚悟した時です。
警備のため、船に乗って国を出ていた部下たちが、王子様を救いに城へ忍び込んできました。
「私はここから逃げるわけにはいかない。国民が他国へ売られていく様を、私はここから眺めることしかできなかった!」
「実際そうかもしれません。ですが、あなたはいつまで経っても私たちの大事な王子……いや、今では国王様です」
「国を持たない国王に、なんの意味がある……っ!?」
王子が噛み締めた唇からは血が滴り落ちましたが、根気強い部下の説得に、王子様は髙い塔から逃げ出すと、港に停泊していた一艘の船を盗み、彼らとともに支配国を出立しました。
それに気づいた支配国の国王様と女王様は船を見つけると、一斉に攻撃しました。
部下の船がどんどん沈んでいく中、なんとか支配国の海軍を破り、船に乗っていた支配国の国王様も女王様も海の底へと沈んでいきました。
そうして、王子様とともに船に乗っていた兵士や使いの者たちは、生き残ることができたのでした。
めでたしめでたし。
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