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第42話

――ここで何をしている?」  ガーシュイン一家に与えられた部屋で、リンリンはベッドの上で目をキラキラと輝かせながら、椅子に座るサーディアンの話を夢中で聞いていた。 「そのお船はとっても強いですのん!!」 「そうだな。そのお船はとても強かった。頑丈だったし、火薬も砲弾も武器もたくさん載ってたんだ。だから勝つことができた」 「船長殿、もう一度だけ訊く。ここで我が息子と何をしている?」  目を吊り上げ、赤毛を逆立てる勢いで問うと、サナはサーベルに手をかけた。 「そう怒るなって、お母様。可愛いリンリンにお話をせがまれて、童話を話し聞かせていただけだ」 「サナ、サーディアンが言っていることは本当ですのよ!! リンリンがサーディアンに、『お暇ならお昼寝前のお話をしてくださらない?』ってお誘いしたんだわ!!」  まだ目は吊り上げていたものの、リンリンの言葉にサーベルから手を離し、サナは赤毛が逆立つほどの殺気を消した。 「この部屋は我が一家に与えられたもの。家同然だ。そうそう簡単に入らないでいただきたい」  サーディアンから目を逸らすことなく言い放ったサナに、サーディアンはおかしそうに声を上げて笑った。 「家同然か。そう言うなら、俺はこの船という一国の主だな。一国の主が国民の部屋を訪ねて何が悪い? なんなら、いつでもお前をガーシュイン殿から奪ってもいいんだぞ? 赤毛のお妃様」 「…………っ!」

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