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第48話
それは本当に偶然だった。
暇つぶしに海賊船の展望台まで登った時、霞むほど遠方に小さな船が何層もいるのが見えた。
サナがそれを確認したことを知った船は、自国の暗号使って、航海灯をチカチカと光らせた。
「アンシンシロ。ツイセキシテイル」
「……!」
これを見つけた時、サナはこの船から逃げられると確信した。
セルデンティーナ王国の海軍は、小規模だが腕の立つ者が多く、『海』という果てない脅威の中での戦闘や、人命救助に長けていると聞く。
もし、この船の人質がご婦人ばかりだったら、きっと救出は困難を極め、敗戦することもあっただろう。
しかし幸いなことに、サナはご婦人ではない。
数え切れないほどの戦場で戦ってきた、元戦士だ。
ガーシュインも、リンリンを守りながら戦えるほどの強さを持ち、ハルカも立派な戦力となる。
白木の船に乗っている時にリンリンを人質に取られてしまったのは、圧倒的にこちらの人数が少なかったからだ。
しかし、あれだけ海軍の兵士がともに戦ってくれれば、サナは白木の船のロープを切って、逃れることができると考えていた。
白木の船は、船好きなガーシュインの趣味で改造を施され、推進力だけでいえば、この海賊船より強くて早い。
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