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第49話

のんびりと船旅を楽しむのではなく、逃げるための戦闘船と考えれば、 十分だった。 その白木の船が流されてしまったのだ。 サナの怒りは最もだった。 きっとガーシュインも、似たようなことを考えていたのだろう。 サナを抱き締めながらも、その顔には焦りの色が浮かんでいた。 ここにきて逃げる足を失ったサナたちは、ますます追い込まれた。 しかし、冷静なサーディアンの言葉に救われることとなる。 「安心しろよ。あの船はあんたらの海軍様がすぐに拾ってくれるさ。それにな、立派な船なんで、タイミングがあったらどっかに売りつけようと思って連たんだか、見た目以上にあの船は重くてな。こっちの推進力が奪われんだよ」 皮肉に笑った彼は、白木の船を手放してせいせいした顔をした。 しかも、セルデンティーナ王国の海軍が着けていることも、しっかりと把握していた。 サナはサーディアンという男を、少し舐めていたところがあったのかもしれない。 その実力を、認めつつも……。 「さて、お2人さんに見てもらいたいものがある」 そう言ってガーシュインの背中を押すと、サーディアンはサナたちを甲板の南端まで連れていき、声を潜めた。 「ーーまぁ、俺たちが言うのもなんだが、汚ぇあの船が見えるか?」 「あぁ」 冷静さを取り戻したサナとガーシュインは、柵に手をかけ、遠方に見える一層の古びた客船を見つめた。

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