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第50話
「ありゃ、客船に改造を加えた海賊船だ。今朝からピッタリと俺たちの船に張り付いてる。きっと狙われてんな。俺たちは」
「そんなこと……これまでにも何度もあっただろう? なんとか振り切ることはできないのか?」
「たから、お荷物だった白木の船を切り離したんだ。あいつらは『シャークノーズ』って呼ばれてる一団でな。狙った獲物は逃がさないと聞く。しかもそれだけの推進力を備えた、馬力のある船だ」
白木の船を連れたままじゃ、逃げ切れない。
静かに響いたサーディアンの言葉に、彼が今頃になって、サナたちの船を捨てた本当の理由がわかった。
「で、どうなんだ? 逃げ切れそうか?」
ガーシュインの問いに、サーディアンは顔を顰めた。
「わからねぇ。俺たちの船もそこそこの重さがあるからな。国王様もお妃様も、戦う準備はしておいてくれ」
「わかった」
その後、船内の一番奥にある隠し扉へ案内されたサナたちは、リンリンとハルカ、リョウジをそこへ逃げ込ませた。
「ハルカ、リョウジ。もし俺たちがやられた場合、リンリンを守る最後の砦は君たちになる。愛しい息子を……次期国王をよろしく頼む!!」
「はいですのん!! 国王様」
「この命に変えても、リンディー様をお守りします」
この言葉を聞き終えると、サナとガーシュインは力強く頷いて、隠し扉の戸を閉めた。
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