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第51話

「いつ戦闘になっても、戦えるな。ガーシュイン」 「もちろんだ。なんのために今日まで剣の鍛練をしてきたと思う」 愛する者を守るためだ。 そう口にしたオッドアイの瞳は、迫り来るシャークノーズの船を見つめていた。 「行くぞ、サナ!!」 「わかった」 2人は風が強くなった甲板に戻ると、戦闘準備を着々と進めているサーディアン一団とともに、敵船を見据えた。 「やっぱ、早ぇな。あの船。どんなエンジン積んでんだ?」 「あの程度のエンジンなら、セルデンティーナにはゴロゴロあるぞ」 「それはいいことを聞いたぜ、国王様。ますますあんたの国が半分欲しくなった」 サナは久々の実戦に身震いがした。 使い慣れた、専用の剣先が長い剣に手を添えて、いつでも相手が、この船にぶつかって来てもいいように身構える。 身に染みた血と火薬の匂いを思い出す。 すると、自然と神経は研ぎ澄まされ、耳鳴りがするほどの集中力がサナを支配した。 サーディアンの船へ異常に近づいてきたシャークノーズ船が、宣戦布告の大砲を打ってきた。 「来るぞ! お前ら!! 奴らを1人残らず殲滅させる! いいな!!」 「はい!! 船長!!」 甲板に集まった百名近い船員は、それぞれに雄叫びをあげた。 するとそれは怒号となって逆巻き、船自体を震わせた気がした。

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