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第54話

 すると相手の動きがひどく遅く見えるようになって、サナは意のままに攻撃することができた。  そうして、どれだけの獣人やヒトを切り殺しただろうか?  これが罪深き行為だとわかっていながら、サナは戦う手を止めることはできなかった。  自分には守るべき相手がいる。  最愛の夫と息子だ。  二人を守るためだったら、自分は地獄に落ちてもかまわない。  その時、どんっと背中が何かにぶつかって、一瞬集中力が切れた。 「――相変わらず、お前は強いな! サナ!」 「ガーシュイン!」    夫と背中を預け合い、会話を交わす。 「船内に敵は?」 「侵入していない様子だ。むしろこっちの戦力に怯んで後退している」  確かに、最前列で戦っていた者のほとんどが倒れ、最後列にいた者たちが、自分たちの船に戻っていく姿が見えた。  この様子に、サーディアンが発破をかける。 「俺たちの目的はシャークノーズ一団の殲滅だ! 相手の船に乗り込め! 俺たちの船を襲ったことを後悔させろ!」 「おーっ!」  船同士がさらに距離を詰め、どぉんと大きな音を立ててぶつかり合う。  衝撃に身体が傾ぐと、ガーシュインに抱き留められた。  その温もりに安堵する暇もなく振り返ると、シャークノーズ一団は完全に敗戦状態だった。

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