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第55話

 サーディアン一団はシャークノーズ一団の船に飛び乗り、逃げる相手を次々と倒していく。  降参も、時間の問題である相手を追い詰める時だけは、少し心が痛む。  しかしサナもシャークノーズ一団を殲滅させるべく、反射的に船に飛び乗ろうとした。 「待て!」  けれど、その足を止めさせたのはサーディアンだった。  何事かと司令塔に登っている彼を振り仰げば、船内を指差された。 「リンリンたちの護衛に回れ。お前の目的は家族を守ることだろう?」 「サーディアン……」  彼らしい言葉と笑顔に、どこか切ないものを感じ取って立ち尽くしていると、ガーシュインに背中を押された。 「サナ、行くぞ!」 「お……おう!」  船内に避難していた侍女や従者、そして彼らを守る役目を任された団員に、負傷者はいないようだった。  そして船の最奥にある隠し扉を開けると、逆毛を立てた猫のように興奮したハルカとそれを宥めるリョウジ。そしてすっかり退屈してしまったのか? 本を枕にすやすやと眠るリンリンの姿があった。 「本当にお前という奴は……」  苦笑しながら、ガーシュインは我が子を抱き上げた。 「サナ様! 敵はどこですのん? ハルカちゃん、もう血が滾って滾って仕方ないですのん!!」  瞳孔の開いた目でフーフー言いながらこちらを見たハルカに、申し訳ない気持ちになる。

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