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第70話

「ちが……う、お前も……ガーシュインも興奮が……収まらないのかなって……んっ、あぁ」 「サナ……」  指の動きも、性器を握る力も弱くなって、サナはホッと息を吐く。  あのまま責められ続けていたら、きっとまたあっけなく果ててしまうところだった。 「だから、俺の身体でその興奮が治まるのなら、お前の好きにしてくれ。ガーシュイン」 「わかったよ、サナ。お前は本当に優しい妻だな」 「?」  サナは、なぜ突然自分が褒められたのかよくわからなかった。  ガーシュインの好きなように責められて、めちゃくちゃに抱かれたいのは自分の方なのに――。  そう思っていたら、身体をひょいっと抱き上げられて、閉じられたグランドピアノの蓋の上に寝かされた。  黒くて鏡のように輝くそこは、ベッドのように柔らかくも温かくもない。  ひやりとした硬い感触が背中全体に伝わって、サナはなぜここに自分を寝かせるのか? と、ガーシュインに問いかけた。ダンスホールには、ソファーだってあるというのに……。 「高さがな……」 「高さ?」  ガーシュインは少し困ったように笑いながら、サナの腰を抱え直した。 「あぁ。ここに寝かせると、お前の蕾が俺の腰のあたりにくる」 「あっ……」  この言葉には、さすがにサナも頬を染めた。

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