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第72話
サナは目の前がチカチカするような快感に、しなやかに背中を反らす。
その艶やかなさまに、ガーシュインはさらに欲望が滾るのを感じ、息遣いもより一層荒くなった。
――美しいサナの背中には、醜く引き攣れた大きな傷がある。
これは義母である元王妃、マリアンヌが暴漢に襲われそうになった時。
サナが身を呈して庇った際にできた傷なのだが、サナはこの傷が気に入っているといつも言う。
なぜならヒトと獣人という身分違いの結婚を、マリアンヌが許してくれる大きな理由となった傷だからだ。
暴漢から、命を懸けて助けてくれたヒトのサナを獣人であり、高貴な地位にいるマリアンヌは寝ずに看病し、昏々と眠り続けていた彼が目覚めた時、彼女は涙を流して喜んだ。
そして、ガーシュインとの身分違いの結婚も許してくれたのだ。
だからサナは、この傷が好きだという。
愛する者と結ばれるきっかけとなった大事な大事な痕跡だと、サナは時折微笑みながらガーシュインに話していた。
そんな彼の背中が撓り、ツンと尖った両の乳首が美しい稜線を描く。
赤く熟れた乳首はじつに美味しそうで、ガーシュインは禁断の果実を求めるように、そこに舌を這わせた。
「はぁ……んん……やぁ、ガーシュ……」
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