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第80話

サナは新鮮な空気を吸いたくて、リンリンを抱いたまま甲板に出た。 ハルカもスキップしながらあとを着いてくる。 ハルカは即興で作るのがとても上手い。今も聞いたことのない歌を鼻歌交じりに歌っていた。 そんな日常がとても幸せで、サナの心は平穏を取り戻していく。 しかし、これで捕虜ではなかったら、最高の船旅なのになぁ……などと思ってしまうぐらいに。 「やはりな……」 サナはリンリン抱いたまま呟いた。 「何がやっぱりですのん?」 「ん?大人の話だ。リンリンには内緒だ」 「酷いですのん!!そこまで言っておいて、リンリンを仲間はずれにするなんて、サナは意地悪ですのん!!」 「リンリン!!」 リンリンは頬を膨らませると、船内に戻ろうとした。 それを今度は、ハルカに抱き上げられる。 「リンリンはどこへ行くのかなぁ〜?」 さっきまで即興曲を歌っていたせいか、リンリンに話しかけるのも、どこか歌のようだ。 「ハルカ先生、聞いてくださいなのん!サナったら『やはりな……』って言ったきり、その先を内緒だって言って、教えてくれないんですのよ!それって意地悪だとリンリンは思いますのーん!!」 「確かにそれは意地悪ですのん!!」

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