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第87話

 権力争いの末、サナとリンリンに危害を加えようとした者を粛清していた兄に代わり、二人を隣国まで迎えに行ったほどだ。  ニーナは強い意志を持って真っ直ぐ前を向くと、再び部屋へ戻り、海軍兼空軍隊長に「船旅に出る」と伝えたのだった。  絶対に兄親子とハルカたちを連れて帰ってくると、心の中で誓いながら。 *** 「今夜、ゆっくりと話がしたい」とガーシュインがサーディアンに言ったのは、昼食も終わって、ワインを嗜んでいる時だった。  この船の中で権力を握っているのはサーディアンなので、食事のテーブルでは一番奥のすべてを見渡せる席に座っている。  しかし、一国の王であるガーシュインにも気を配ってくれていて、サーディアンの横の席が、彼に与えられた場所だった。  サナは幼い子どもがいる都合上、少し離れた席にリンリンを挟むようにようにして、ハルカと並んで座っていた。その隣にリョウジが座っている。  だからサナはガーシュインに頼んだ。  今日、昼食が終わって機嫌がいい時に、サーディアンに話がしたいと伝えてくれと。もちろんガーシュインやハルカ、リョウジも一緒に立ち会ってもらいながら。  なぜなら、この船に囚われてもうひと月半になる。  そろそろ行動を起こさなければならないと、サナもガーシュインも考えていたからだ。

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