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第99話
兄の代わりに、殺人集団が集められたサナとリンリンの家に、「二人を迎えに来た」と言って馬車で乗り込んできたり、「好きな人ができた」といって、その相手と一緒に彼の母国へ留学してしまったり、とにかく『思い立ったが吉日』と言わんばかりに、フットワークが軽いのだ。
しかもそれだけではなく、ニーナは頭の回転も速い。
常々ガーシュインは、もしニーナが長男だったら、自分よりも良き王になっていたのではないかと思うほどだ。
この報を受け、サナとガーシュインは急いで甲板まで出た。
そして息を切らして周囲を見渡すと、双眼鏡などいらないほど近くに、可憐な装飾が施されたニーナの船が横づけされていた。
「おにーさまー!! サナー!!」
波の音で声はかき消されてしまったが、笑顔で手を振る彼女の唇の動きから、そう読み取れた。
その横には、情けない笑顔を浮かべるカルムがおり、やはり行動力のある彼女に(無理やり?)連れてこられたのが明白だった。
「ニーナ……本当に来ていたのか……」
唖然とした様子で呟いたガーシュインに、サナも同調する。
「さすがだな、ガーシュイン。お前の妹殿は、世界を動かすだけの力を持っているかもしれない」
呆気にとられながらニーナとカルムに手を振り返していると、ニーナの船が信号旗を上げた。
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