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4話
篠田さんは家の近くまで車で送ってくれる。
正直、こんな高級車乗る機会もうないし満喫しようと思っていた。
「今日もありがとうございます。楽しかったですよ」
「まあ、僕は何もしてないんですけどね」
「じゃあ、つけ込んでいいんですかね?お礼が欲しいです」
そう言って篠田さんはオレの顎をクイッと持ち上げて、キスをした。
舌でオレの歯をゆっくり舐めていた。
「んっ…ふ…」
息継ぎが精一杯で、状況への全く理解が追いつかなかった。
口を離して、
「やっぱり、貴方の精気は美味しい。これ以上はしませんよ。本当に」
篠田さんは軽く笑っていた。
「いや、オレの初めてが!!帰ります!」
そう言って勢いよく飛び出していた。
家に帰ってすぐに布団に突っ伏した。
思い出したら顔から火がでそうになっていた。
冷静に今までのことのお礼がキスって安すぎはしないか、と疑問にも思った。
オレのファーストキスは自称淫魔の電波男に奪われてしまった。
初めてのキスが、嫌気がなく気持ちよかったので少し心が折れそうになった。
(いや、だって男だし…オレはラノベに出てくる異世界の可愛い女の子とチューしたかった…)
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