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スキルブック
「まずは、それぞれの実力を知りましょう」
ジョブとスキルツリーを書いていく。
「これは?」
「普通に学んだ場合、こういう順番になります」
「なるかなぁ?」
「理論上はなります」
「この術は知らないな」
「俺は多分ここだが、これも使えるぞ」
まじかよ、めちゃくちゃだな。とくに疾風様がジョブなんだよって感じだ。
さすが現実化しているだけあるわ。
「まあ、こまけーことはいいんです。この系統図をコピーして、使える呪文を塗りつぶしてもらって下さい。明日の宿題にしましょう」
大喜びだったし、頑張ってたけど、やっぱり始めの授業としてはハードル高かったよなあ。反省。
「それで、どうするの?」
「生徒達の魔法陣を見たんですけど、まず正しい魔法陣を叩き込む所からやったほうがいいと思うんです。魔術初めてって子もいましたし」
「ふむふむ」
「そこで、相手の進捗にあった本をお渡しすることを考えてみました。ウルトラ作るのが面倒で費用がかかるのですが、1人一冊程度なら融通することもやぶさかではありません。まず、この図を埋めてみて下さい」
うん、これとこれが良いかな。
先生達が本を開くと、本が輝いて、吸い込まれた。
「!??」
「本当はずるなんですけどね?」
二人がすっと魔法陣を展開する。うむうむ、上手く出来ているみたい。
「凄い……簡単に構築できた」
「スキルブックと行って、刻み込み式は、そうなります。ただ、へんなもの刻み込めないから、相当きれいに魔法陣書かないとですけど。お手本にはなるかなって」
せっかくだから、作ってみますか? その言葉に、教師二人はコクコクと頷いた。
それなら俺は鬼になりますぞ。スキルブック作成の道は長いのだ。なにせ、もうパソコンのアシストがないんだ、美しい姿の魔法陣を提供せねば。
「今日の午前中は、学修の深度を確かめさせてもらいます。テストだけど、普段の実力を知りたいだけだから、気負わないようにね」
本当は昨日やるはずだったのだが、昨日は特別授業で潰れたからね。
「せんせー。これ、素直に答えないと駄目ですか?」
「うちの秘術がある……」
「あー。それを基準に教えるから、素直に答えてもらったほうが助かるけど、全部正直でなくてもいいよ。あーでも、午後に出来るって言った術は一通り見せてもらうから、出来るのを出来ないと答えるのは良いけど、出来ないのを出来ると言っちゃ駄目だよ」
俺も隅っこで学ばせてもらう。忘れていること、結構あるからな。
ついでに勉強させてもらおう。
その日の午後はひたすら生徒がどこまで出来るかのチェック。
生徒のカルテが完成した。
そして、それを見ながら授業の検討である。
当たり前のように学校に行っていないため、小学生クラスのことが出来ない子がいるな……。俺のことですよ。俺のことですよ! 特に当然だが歴史が壊滅してる。
「んー。バラバラすぎて駄目ですね。幸い、ここまで教えるという指導基準はありますから、それぞれ向けでテキスト作って頑張ってもらいますか!」
「ええ!?」
「お、俺は体育の指導要領の作成があるから……」
「それとキレイな魔法陣作りもね。魔術が一個も使えない生徒がいるから、その二人には早急に魔法陣を用意してあげないと。具体的には明日まで」
「ええ!?」
「でないと、どんどん遅れちゃうでしょ。タイムイズマネー! ノルマ1人一冊、一番簡単な魔術だから、簡単でしょ? 俺は明日の文のテキストを作りますから」
ビシバシやった。
失敗したスキルブックは容赦なく破った。
そのおかげか、最高の二冊が出来た。一ミリの誤差もない魔法円……。素晴らしい。
翌日。
「先生、頑張ったよ! 褒めて褒めて! わからないことがあったら何でも聞いてね!」
そう言いながら、テキストを配布していく。
「それぞれの生徒に合わせてテキストを……?」
「頑張るじゃん、先生」
そして、何気なく配られた本を開く生徒二人。
本が生徒に吸い込まれて生徒達がびっくりする。
「あ、これは簡単な魔法を覚えられる本だよ。これで実技も受けられるね」
「「「ええー!??」」」
「先生、魔具放出しすぎじゃないですか!?」
「初めてだからって頑張りすぎてない!?」
「正直、凄く頑張ってる。褒めてくれても良いんだよ?」
皆で先生をナデナデタイムした後、授業に移る。
「あ、先生。これはどうしてですか?」
中学生レベルの質問で、固まらないで……ああ、先生も学校行ってないのか。行ってるわけないよなぁ。先生の授業深度も確認しないと。忙しいな。
「生徒の助手の! この蓮がお答えします! 先生は昨日、魔具の作成で忙しかったですからね」
「えっ 先生の手作り?」
「私も欲しい!」
「ちょっと材料が高価かなー。皆には進捗に合わせて、それぞれ別のスキルブックを1冊ずつあげるからさ。楽しみにしててよ」
2,3年制の1年制への留年希望が殺到した。
学年下がるのは無理だろ。
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