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敵襲

「え。飛び級ってなんですか? 1年生が0人で僕の受け持ちが74人っておかしくない?」  さすがの聖人桜火先生も戸惑いの声を上げた。  確かにないわ。流石にないわ。 「まあでも、人数多くても大丈夫なように今年度は魔具なしなんだろ? 頑張れ」  ブラック。凄くブラックですね!!   「これ、本当に皆、勉強ちゃんと出来るの? ちゃんと飛び級満たしてる?」 「心配なら、生徒をしっかりサポートしてあげればいいだろう」 「74人だよ!?」 「来年はもっと増えることになっている」 「はあ!? それなら、基準に満たないのはガンガン留年させますから!」 「貴様の権限と責任の範囲なら好きにしろ」 「ぐっ……!」 「疾風先生も副担任にするから」 「わ、わかりました……!」  そこで負けちゃう先生が好き。   「ああ、疾風! 僕挫けそう!」 「俺も気が遠くなってる。100人の前で踊るのか……?」 「頑張れー。応援してます!」 「今からでもカリキュラム変えよっかなぁ……」 「今まで頑張ってきたんだから、大丈夫ですって」  ひとまず、テストを行う。  ちなみに、二年生の留年組がちょっと少なめなのは、戦闘職ってことで察して欲しい。  本当にブラックである。  勉強は努力は認めるって感じでした。これで飛び級とかふざけんなってレベル。後、団体行動とか学ぶ時間が必要だよね。  本当にこのカリキュラムにしてよかったと思う。  俺、二年時からは経理を捩じ込んでるから、本当授業が大変である。  小学生クラスの勉強が出来ない子と、腹筋が一度も出来ない子が一同に介して一般常識と魔術の勉強と戦闘訓練を行うんだぜ? 気絶しそう。任務あるし。   「まず、流石に底上げはする。魔法陣一個も使えない子はスキルブックをあげるから、使いなさい。ただし、どうせ数発で息切れだから、あくまでも切り札程度で戦闘訓練はすること」  戦闘の基礎の基礎、勉強の基礎の基礎、魔術の基礎の基礎を教えること、一ヶ月。  ようやく生徒達の準備とグループ分けが出来た。 「じゃあ、特別授業をします」  歓声をあげる生徒達。  深呼吸をする先生達。 「炎剣と!」「疾風の!」 「二人は、仲良し!!」  二人でポーズを取る。  そして、俺が敵役のゴーレムを放り投げ……!! 「炎弾!」 「風弾!」 「「火炎弾!!」」  火の球と風の球が合体して、強力な火炎弾となり、ゴーレムを襲う!  追加のゴーレム投入!   「はっ」 「とっ」 「やっ」 「はっ」  魔力の籠もった連撃を二人で入れる。よく見れば、相乗効果がわかるはずだ。  こんな感じで、2人の連携技から1人のコンボまでみっちり長々とやった。最期は、2人での合成魔法。  生徒達は、拍手をしてくれた。 「今日のテーマはこれ! 一ヶ月ごとにこちらで指定したペアと連携を覚えてもらう」 「すげー」 「おお……」 「なるほど」 「2人ならば、連携を覚えるのも無駄ではありませんね」 「ペアごとに課題も考えてあるから、一ヶ月以内にクリアするように。出来なければ留年となる」 「ええー!」 「ペアの片方が愚図だったらどうするのよ!?」 「そのサポートが課題と思え! 一学年の教室が空だし教室狭いから、ガンガン落とすぞ。あ、足を引っ張る行為を見つけたら留年だからな。実力でクリアしろ」 「蓮くんは何するんですかー?」 「彼はひたすらカカシを作ってくれる。皆、感謝するように。あ、最終試験はクジで即興でペアを決めて即興で課題を決めて行う。正直すごく大変だから、先生も敬え」 「ははー」  そして、74人、37ペアへの指導が始まった。  連携ー? と懐疑的だった子も、連携に必要なスキル……技を教えるとなるとピタリと口を閉じた。素直でよろしい。  いやでも、これはこれで大変ね?  指導方法の相談とか、ペアの進捗とか、あと他順に戦闘訓練で目が離せなかったりとか、めちゃくちゃ忙しい。  それに、一度コンボを決めるとコンボ中毒になる子が多くて、それの対処も大変だった。  コンボは最強ではないのだ。決まるとめっちゃ気持ちいいけどね!  この指導は好評だった。  授業参観の話が出て、実現されるほど。  3年生は自主的に学んでいた。  それぞれ、任務に出ていない時の時間を全て生徒達の為に使い、頑張った。  最後の三ヶ月は、相手の実力の量り方やひたすら格上からの逃げについて学ばせた。  コンボ・連携・逃げ。放課後のゴーレムのアシストもあり、早々にヤられないように育ったと思う。実際死亡率が格段に減ってる。経理も最低限、家計簿はつけられるようにしたしね。  この一年で、先生のクラスも上がった。学級のクラスではなく、強さのクラスである。  つまり、強くて厄介な任務が割り当てられるようになった。仲良しペアが一番多いけど、飛行は普通に役立つし、桜火先生の必殺技も強いので別々の任務にも多く駆り出される。  その為担任はこれ以上は無理! 倒れる! ということで、先生2人は家庭科担当にするよう直訴した。家庭科なのはもちろん……レシピである。  学ぶことがどんどん増えてごめんよ、生徒達。  ってことで簡単な栄養学、魔法レシピ、調理法を教えた。  それと、三年生で魔法陣が綺麗な子にスキルブックの作り方を教えた。  生徒のスキルブックも容赦なく破りますよ!    その日は魔法のカレーを作っていたときだった。  学校の警報がけたたましくなり、こんな声が聞こえた。 「敵襲ー!!」  なんとついに魔王の魔の手が!?

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