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歌って踊れる勇者様(超絶美形)
魔力が、体力が身体に満ちる。視線がぐっと高くなる。ああ、なんて全能感。
ぐっと足に力を入れて、走る。
校舎から出たら、風靴ですかさず空を掛けた。ちなみに死んだ時の最高装備だった。
「シャイニングレイン!」
アンデッド達を範囲魔法の光の雨で一気に弱体化させていく。
「勇者!!」
「久しぶりあーんど初めましてだな、骸骨将軍! さあ、踊ろうぜ!」
げっ 桜火先生が大怪我してるじゃん! 絶許!
もちろん、他にも沢山怪我人が出ている。なので、ここは賢者の杖! 弱い回復効果だけど範囲が広いアイテム!
俺が高く高く掲げた賢者の杖から暖かい光が広がる。
癒やしの光は対アンデッドにもなるため、敵味方の区別の必要はない。
杖を掲げたまま、突っ込んできた骸骨将軍を避けて、避けて、避ける。
もちろん、嫌がらせで魔弾を撃ってアンデッドを消滅させていくのは忘れない。
それで足りなければ、ポーション玉を投げつける。桜火センセにはエリクサー玉。
気分が良くなった俺は音楽プレイヤーの魔具を鳴らして歌い始めた。腰フリフリ。
「勇者め! 相変わらず、フザケてくれる!」
「はっ 俺は今回、応援係でしかないからな。気楽なもんよ。今回お前らを倒すのは、俺の弟子共だ! ま、今回は手本を見せてやるがな!」
嘲笑して、賢者の杖をぽーんと疾風に投げる。
「疾風せーんせ。しっかり掲げてろよ!」
「あ、ああ!」
そして、俺はリズムに乗ってコンボを決める。
タンタンタンタンタタタタンタン!
自然と、俺の口からは哄笑が溢れ出ていた。
楽しい。楽しい。楽しい!
さて。現時点で桜火センセーと疾風センセーが出来るコンボを見せようか。疾風せんせーの術は使えないのも多いが、魔具で代用できる。
「見てろよ見てろよ―!」
更に、いくつかの魔術を追加して発展形を見せる。
もちろん、単純に俺の自慢のコンボも見せちゃうぜ!
初期のボスだけあって、なんとかなりそう?
「ほらほら、炎剣せんせー! 手が止まってる! 一緒に踊るか? 合わせの鳳凰陣!」
「は、はい!」
合体魔法をぶっ放して、笑って、笑って、笑って。
「じゃあ、サヨナラだ」
「勇者よ! 必ずや魔王軍は貴様を血祭りに上げてみせる!」
「もう勇者じゃねーよ」
蹴り飛ばした先に、構える炎剣。炎剣せんせーは、炎剣で真っ二つに切ってみせた。
疾風せんせーが駆けてくる。
「よく出来ました!」
にかっと笑うと、ぼんっと二人の顔が赤くなった。
「じゃあ、賢者の杖返して」
「え」
疾風せんせーがぎゅっと杖を握る。
「はあ。本当に俺って弟子に甘ーい。疾風せんせーも良く出来ました。ご褒美にあげる」
手を引っ込めて、代わりにくしゃっと疾風せんせーの頭を撫でる。
「ぼ、僕も! 僕も頑張ったからご褒美!!」
「はいはい。炎剣せんせーにはお靴をあげようね―」
風靴の予備を渡し、ポーション玉を入れた袋を渡す。100個あれば足りるだろ。
「これ、他の子達に。お疲れ様、喧嘩せずに分けてね」
そうして、炎剣せんせーをギュッと抱きしめナデナデして身を離す。
約得役得。
サイッコウにハイになったまま、俺はテレポートで移動して、元の姿に戻った。
めっっっっっっちゃ脱力してビビった。え、こんな反動あるの!?
そのまま、俺は意識を失った。
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