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第4話
「で、宝。さっき、なにを云いたかったんだ?」
宝の胸の飾りを愛撫していると、宝は下着が濡れていくのが気になるのか、しきりとボトムを脱ぎたそうにしはじめた。うまくボタンを外せないでいる宝に変わって、下着とボトムをまとめて脱がせてやる。
すると宝は真っ赤な顔で胸のなかからでていって背中をベットにつけたかと思うと、まるで「どうぞ」とでも云うように、おずおずと自ら足を開いたのだ。
(――うっ!)
勃ちあがってぷるんと震える彼のシンボルと、見えそうでみえない股のあいだの翳りに、鼓動が跳ねあがる。イアンは思わず鼻血を吹きそうになってしまい、慌てて手の甲を鼻根にあてると、自分のなかのボルテージをいちど下げるための努力をした。
「た、宝?」
「話はあとでもいい……から、よかったら……その……」
目をさ迷わせた宝はそう云うと、思いきるようにしてぎゅっと瞼をおろした。本人はその気はないだろうが、すっかり煽られてしまったイアンは、手際よくボトムの前立てを寛げた。そして宝のうえに伸し掛かると彼が広げていた脚をさらに割り開き、その最奥の窄 まりに自分のペニスをくいっと差しこむ。
「んんっ」
「痛かったら云うんだぞ」
宝はこくこくと頷いていたが、きっとどれだけ痛くても黙って耐えてしまうのだろう。そう思うと悩ましげに眉が寄ったイアンだったが、とりあえずは彼のなかに自身をすべて収めてしまいたい。イアンは宝の負担にならないように、すこしづつ狭い粘膜の挟間にペニスを押しこんでいった。
「ふあっ……んんっ……んっ……」
彼のなかは三日前よりも一昨日 のほうが、僅かに柔らかく濡れて挿入しやすかった。そして一日空 けた今夜、さらに宝は柔軟にイアンの性器を受け入れていく。慣れもあるだろうが、それにしても彼の粘膜は熱く濡れていて、ずいぶんと挿れやすくなったと感じる。
すべてを収めてしまうとおおきな胴震いをして、肺の奥底からの深い息を吐いた。
「イアン、……ちゃんと、はいった?」
苦しそうに云う宝は、体感できているのだろうか。イアンのペニスは根本近くまで、彼の体内に埋まっている。まだ数えられる回数しかここに男を受け入れていないのに、それでもこんなにもがんばってくれた彼に、愛情が溢れかえる。
「ああ。全部はいったよ。これが全部はいった状態」
覚えておいてくれたらいいと思い彼にそう教えると、宝が躊躇いながら臍のしたあたりを撫でた。
「宝のなか、気持ちいい。で、云いたいことはなんだったんだ?」
「ううん。さきにしてちょうだい。……その、いっかい? イアンが一度、お、終わってからで……いいから……」
たどたどしくそう云うと、宝は首に腕を回してぎゅっと抱きついてきた。
これだ。この遠慮が問題だ。献身的でぐっとくるが――事実、いま自分の性器がいっそう固く腫れ、隙穴を内部から広げられた宝が「ふあぁっ」と涙を滲ませ声をあげた。でも彼をこのままでいさせてはいけない。
これが精を吐き出すためだけの行為ではなく、愛情を伝えあう行為であり、お互いに協力しあうものなんだと、宝にわかってほしい。片方だけが我慢したり不自由があってはいけないのだと――。
(この初心 な恋人に、どうやってそれを教えてやればいい?)
悩むイアンの抱きしめた腕のなか、宝はおっきくなった体内のペニスにたじろいている。そんな彼がかわいくて思わず二三 回腰を振ると、やはりなにやら違和感が……。
「宝、もしかして、なにかしてきた?」
訊くと、ぴくんと肩を揺らして、
「あの、えっと。その、ね……」
宝は手繰り寄せた枕で、顔を隠してしまった。
彼に寄り添うようにしてそうっと寝そべると、顔を近づけて「云ってみろ?」と枕を持ち上げる。その動作で宝の内部にずっぽり嵌 めていたペニスがすこし抜けてしまい、その感覚にふたりしてくっと息を詰める。
イアンははやく擦り上げて吐き出したいという衝動をぐっと堪 えた。
「宝?」
「俺、イアンに謝ろうって。俺、男同士のやりかた調べた。こんなことするのはじめてだったから、……なにも知らなくて、その、いろいろイアンに失礼なことしてたって――」
それだけ云うと、宝は「いままでごめんね」と上目遣いに謝ってくる。目の縁を朱に染めて、潤んだ黒い瞳で見上げてくる宝は、いつになく色っぽい。
的を得ない謝罪を受け、顔を顰 めたイアンの耳に、
「今日は、なか洗ってきた、から」
と、囁いた宝は、そのままイアンの胸に顔を押しあて隠してしまった。それで思わずイアンは腰を揺さぶってしまったのだ。
「んあぁっ、なんでっ⁉」
(なんでって……)
イアンは緩く腰をグラインドさせながら、苦笑いした。
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