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第12話◇
【side*玲央】
神月玲央 19才。法学部2年生。
昨日、クラブに遊びに出かけて、夜中にセフレの家に行った。
大学まで車で送られ、駐車場から歩き始めたのだけれど、あまり寝てないのでだるすぎて、道路の脇にあったベンチに腰かけた。見かけてはいたけれど、このベンチに座ったのは、初。
いい天気で日差しが眩しいけれど、このベンチは良い感じに日陰で涼しい。
「……ねむ――――……」
あくびを一つしたところで。
後ろから、猫の鳴き声が聞こえた。振り返ると、黒い猫。
寂しそうに見えて、話しかける。
「……なに。オマエも、ぼっち?――――…… おいで?」
そう言うと素直に近づいてきた。
「……はは。可愛いな、オマエ」
野良にしては慣れてんな……。
そっと抱き上げる。
――――……抱きながら、咄嗟に自分が言った言葉に、正直、引いた。
つか、何言ってんだオレ。
オマエもって。
……オレも、そうってことか?
……自分の一言に気付いてしまって、心底、嫌になった。
――――……ただの事実として、この上なくモテる。
中学から高校最初の頃まで何人かと付き合った。嫉妬と束縛と、そこからの喧嘩や修羅場が心底うざくなって、誰か1人と付き合うのは、もうやめにした。
異様にモテるせいなのか、嫉妬の程度がひどすぎて。穏やかにつきあっていられる期間なんて、ほんのわずか。
彼女以外と話さない、遊びに行かないなんて無理だし、それを疑われたら、キリがないし、あまり疑われたり泣かれると、信じさせてやらなきゃという気持ちも、消え失せる。
もう、完全に、うんざり。
昔はまだ「可愛いヤキモチ」と許せたものすら、どうせそれがすぐに「激しい嫉妬」になることを知ってるので、今はもう最初から、耐えられない。
1人に絞って、疑われたり、束縛されたり、険悪になるのも無理。
それくらいなら、自由に、遊びたい時に、遊びたい奴と遊ぶ。
誰と何をしたって自由。相手も、初めからそういう関係だと納得していれば、問題も少ない。
お互い本気になったら終わりにするとの約束済みで、関係を始める。
――――……オレは、多分、セフレに本気にはならねえけど。
色々経験してくるうちに、そんな関係が一番楽で、その形に落ち着いた。
今は、かなり、楽。
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