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第21話◇約束の日

【side*優月】  月曜の朝になってしまった。  今日の5限が終わったら、約束の時間になってしまうのに。  どうしたらいいのか、最終的に決められてない。  金曜、智也と美咲に話して、物凄い止められて。  土日は引きこもって、めちゃくちゃ、考えた。  考えたというか――――……。  玲央の事が、勝手にずっと頭にあって。  ――――……嫌でも、ずっと、考えさせられたという方が正しい。  目の前に、玲央を描いたスケッチが2枚。  ずっと考えてたら、ついつい、玲央の顔を描き始めてしまった。  オレ、似顔絵、超うまいかも……。そっくり。  自画自賛しつつ、自分で描いた玲央を眺めながら時を過ごしてしまった。  智也と美咲には、「絶対行っちゃだめ」と何度も念を押された。  今日の昼は、学食に来てと、言われている。  ……はー。絶対行くなと念押しされるんだろうな。  ……分かってる。二人に言われなくたって。  オレだって、セフレなんて嫌だし。今迄考えた事すら無かった。  大好きな人になった人と。  愛して、愛されて、キスとかエッチとかもして、  出来たらずっと、同じ人と一緒に生きて、添い遂げたい。  何となくオレは、漠然とだけど、そう思ってる。それが、理想。  セフレなんて、それの真逆にある関係だって事も、分かってる。  しかも好きになったら終わりとか。  ……オレ、きっと、玲央とキスとかそういう事なんかしちゃったら、多分、どんどん好きになっちゃうと思う。  キス、めちゃくちゃ、優しくて、気持ち良かった。  乱暴な身勝手なキスだったら、こんな、土日考える事もなかったし。そもそもキスされた時点で殴ったと思うし。  あんなキスされて……あの延長で、「寝る」なんて行為が存在するなら、  心と体を別にして、体だけとか割り切った関係なんて、絶対無理。  抱き合ってたら、好きになっちゃう気がする。  金曜の、キスだけだって――――……優しくてやばかったのに。  好きになって、でも好きって言っちゃいけないまま、関係を続けるしかないなんて切なすぎる。  好きって言ったら終わり、なんて、絶対嫌だ。  だから、絶対に行っちゃだめだし。分かってるし。  もう関わらないで過ごした方が、いい。  関わらなければ、玲央に会う前の、平穏な日々が続くはず。  それで、きっといつか、好きな女の子とか、できて……  きっと、平凡だけど幸せな日々が来るはず。  理性的な自分は、理屈で、絶対そう思ってる。  問題は。  目の前の玲央の絵をじー、と見つめてる、自分。  感情だけなら。理屈なしの感覚だけなら。  ――――……玲央と話したい。  玲央の近くに、居たい。このままなんて、嫌だ。  この前みたいに、見つめてほしい。触れてほしい。  ……キスしたい。  玲央がしたいなら、そうなっても、いい。  初めてを、玲央に捧げるのもあり……かもしれない。  ――――……というか、玲央以外だと嫌かも。  ……土日でそんな風に思うようになってて。  ――――……こんなの美咲と智也には絶対話せない。  1限に間に合うには、あと20分で家を出きなきゃいけない。  ――――…ああ、もう、どうしよう。  理屈と感覚で、真逆の気持ちに、揺れすぎて、  全然、気持ちが決まらない。

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