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第34話◇
【side*優月】
オレもう、ほんと、何をどうしてたらいいのかな?
何も浮かばなくて聞いたのに、玲央に勘違いされて、
「お前、オレを抱く気だったりする?」なんて聞かれてしまった。
恥ずかしすぎて、このままどこか穴に埋まってしまいたいと本気で思って、うずくまった。
「――――……ち、がう」
最大限に首を振って否定しながら、それだけ何とか口にする。
「……じゃあ、何すればって、どういう意味?」
玲央が少し笑いながら、そう聞いてくる。
「……だって……寝てるだけじゃ、やでしょ?」
小さな声でそう言うしか、ない。
もう、消えたい。
「――――……優月、来いよ」
脇に手を入れられて立ち上がるしか無くて。
立ったと同時に、抱き寄せられてしまった。
顎にかかった手に、上向かされる。
もう死にたい位恥ずかしいのに。間近で顔を見られて、泣きたくなる。
「真っ赤……」
「……っだって―――……オレが、玲央にそんな事できる訳ない……」
「何で? ……お前も男だろ」
「……こうしてたって、ドキドキで死にそうなのに……絶対無理」
「……」
無理無理、と首を振ってると。
玲央がぷっと笑った。
「……優月が、何すればいいってさ」
口元押さえて、クスクス笑いつづけてる玲央。
ああ、もう、すごい笑われてるし。
……いまさらだけど、少し、帰りたくなってきた。
玲央に迷惑かけたり、呆れられたりする前に。
「お前が、キスも初めてだったの、知ってるし」
「――――……」
……だから。だからこそなんだけど。
今更だけど、玲央みたいに慣れてる人の、相手が務まるとは思えない。
「……お前に何かしてもらおうなんて、何も思ってないけど」
「……でも……」
……寝てればいいの???
……ただ寝て、玲央にされる事、受け入れてるの?
いやいやいや、無理。
どうしたらいいんだろう。
本気でどうしようかと思った時。
「……そっかー。 お前、何かしてくれる気だったのかー」
ますます、クスクス笑って、玲央は、オレの腰に手を回した。
引き寄せられて、ちゅ、とキスされる。
そのまま、舌が絡んできて、深いキス。
舌が溶けて、玲央のに混ざってるみたいな。
舌って、こんなに気持ちいいんだ。とまた思って。
目をぎゅ、とつむる。
息が苦しくて、朦朧としてくると、玲央が喉の奥で少し笑った。
「鼻で吸って。……さっきも教えたろ」
少しだけ離れて、囁いて、また重なってくる。
そう、だ。学校でされた時も、鼻でって言われたっけ。
「――――……ン、ふ……」
あ。やっぱり、少し楽。
――――……気持ちいい。
どれだけキス、されるんだろう。
……このまま、ずっとされるのかな。
そう思う位、長いキスに、飲み込み切れない唾液が顎を伝ったのが分かって。なんだかすごく恥ずかしくなって、少し離れようとした。
すると、キスを離した玲央が、唾液の伝った顎に舌を這わせた。
「……っん? ぁ……っ」
ただ、顎を舐められただけなのに。
体が、びくっと震えて。
「え……、なん、で」
ぞくぞくしすぎて、怖い。
どうしよう、と思った瞬間。
また深く、キス、された。
何今の。
……気持ちよいって言うのかな。
びっくり、した。
「……ん、んっ……」
――――……玲央って……キス、好きだなあ……。
……オレは、されてて気持ちいいけど。
玲央は、オレとしてて、気持ちいいのかな……?
「……ふっ……ン」
玲央の好きに絡められるままだった舌を、少しだけ、自分の意志で、動かしてみた。
舌先を、玲央の舌に触れさせてみる。
「――――……」
玲央が頬に掛けてた手が、ぴくと震えて。激しかった舌の動きが止まった。だから多分、オレが自分から動かしたのを分かってくれたんだと思った。
玲央が、してたみたいには、動けないけど。
玲央の熱い舌に、内心怖々とではあったけれど、ゆっくり舌を絡めてみる。しばらく、玲央がものすごくゆっくりな動きで合わせてくれてたので、頑張ってると。
「……ゆづき」
少し離されて。
「――――……お前、すげえ、かわい」
ふ、と笑まれて。
優しく緩んだ瞳に、どきん、と胸が大きく震える。
そのまま、どっどっと、体の中から激しい音がする。
うぅ。
なんか、やばい。
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