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第35話◇
「スマホ貸して?」
言われてポケットに入れてたスマホを玲央に渡す。
テーブルにそっと置いた玲央に、手首を引かれた。
「浴びよ、シャワー」
内心ものすごく狼狽えるけれど、抵抗なんて出来ないまま、バスルームに連れていかれる。
……でっかい……。脱衣所、広すぎ。
「……玲央、ここに一人で住んでるの?」
「住んでない」
「――――……?」
「住んでるマンションは別にあるよ。ここは、仲間と集まったり、誰かと来たりするとこ」
「――――……」
え。じゃあ、普段あんまり使わないってこと?
……だから全然暮らしてる感じ、しないんだ……。
………超お金持ちって言ってたっけ。
感覚、違うんだろうな……。
一人、妙に納得していると。
目の前で、無造作にシャツを脱ぎ捨てられて。
玲央の綺麗に筋肉のついた裸に、焦る。
……すごい着やせするんだな。
そういえば、オレの事、軽く支えてくれてたっけ。
つーか……。
脱いでも、カッコいいんだなあ。
「……優月?」
「……体、すごい、鍛えてますか?」
「ますかって……」
なんでか敬語になった優月に、おかしそうに笑って。
「ん、ジム行ってる。ライブん時、脱いだりするし」
「――――……あ、ライブ……」
「……オレがバンドやってんの、知ってる?」
「してるのは知ってる……見た事、 無いけど……」
「ふーん……」
良い体すぎて直視できないでいるオレに、玲央がふっと笑う気配。
「――――……触ってみる?」
「……っ」
手を掴まれて、引き寄せられる。
「う……無理」
「……無理じゃなくて」
クスクス笑った玲央に、手を取られ、胸にぴたっと触らされる。
なんか、自分の体に触るのとは、全然違う。
硬いし。弾力あるし。
筋肉、綺麗。
こんな綺麗なのはテレビで見た事ある位で。目の前で見るのは初めて。
「――――……なんか玲央の前で裸になるの、嫌かも」
「……なんで?」
「……だって、全然、違う、から」
「――――……見せてみ?」
着ていた服を、脱がされそうになって焦るけれど。
……オレの抵抗なんか無いみたいに手際よく、すぽ、と脱がされて。上半身、裸にされる。
「――――……」
玲央が、何も言わない。
言わずに、その手を、胸にぴと、と触れさせた。
「……綺麗」
「……っ」
綺麗って、何……。
玲央のとは、違いすぎて。
……見られるの、恥ずかしすぎる。
「……お前の肌、気持ちいい」
「……っ?」
「……こないだも思ったけど――――……触り心地、良すぎ」
玲央がそう言って、すり、と胸をなぞっていく。
くすぐったくて、びく、と震えると。
「……ほんと、どう触っても、反応良いな」
「……っ」
背中に触れられて、引き寄せられて。
首筋に、キスされる。
「――――……っ」
本当に、どうしていいのか、分からないままなんだけど。
――――……玲央に触られるのは、好きみたいで。
玲央に触られるとこ全部、ゾクゾクする。
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