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第39話◇

 優月が、オレに何かしてくれようとしてたのが、可愛くてからかっていたら、それに対する反応がますます可愛くて。なんかあまりに可愛すぎて、正直少し困った。  ……つか、全部初めてなのに。  何をしてくれようとしてたんだか。  深く、口づけて、思うままにキスしてると。 「……ふっ……ン」  おずおずと、優月から舌を触れさせてきて。  ゆっくりと、絡めてきた。  ……可愛すぎ……。  しばらく、優月の動きに合わせてやってると。  は、と熱い息が、間で零れた。 「……ゆづき」  少し、離して。赤い顔を見つめると。 「――――……お前、すげえ、かわい」  思わず、その言葉が、漏れてしまう。  脱衣所に連れ込んで、肌に触れると。  柔らかさとか、滑らかな感じとか。  好みとしか言いようのない感じ。ずっと触っていたくなる。  オレが脱いでからは、オレからずっと視線を逸らす、そんな反応も新鮮。  オレのする事に、いちいち、恥ずかしがって、でも、拒否らないのが、また可愛くて。無性にキスマークをつけたくなって、首筋に吸い付いたら、ものすごい驚いた顔で、何してるのか聞かれた。  いちいち可愛くて。やばいし。  なんか、オレ……すげえ浮かれてて。オカシイ。  いつもなら脱がせて一緒にバスルームに連れ込むけれど。  心の準備して、と少し離れたのは。  少し、自分も落ち着こうと思ったのと。全部恥ずかしがって戸惑いまくりの優月に、ある程度覚悟して欲しかったから。  すごく時間がかかるかもなと思いながら、先にシャワーを浴びていると。そんなに待たずに、ドアが開いた。  振り返ると、まっすぐな瞳がオレを見て、また少し赤くなった。 「……準備、できた?」  と聞くと。 「一応……した」  小さな声で、でもちゃんと、そう返ってきた。 「一応でも十分。 ……優月、来いよ」  手を出すと、すぐに触れてきた。そのまま引き寄せて抱き締めると、腕の中でまた真っ赤になった。  どこを触っても、震える。こらえているようなのに、声が漏れる。  ……なんでこんなに、可愛いかな。  初めてのくせに。   ……初めてだからなのか?   肌白くて、色素が薄いのか、乳首や性器も綺麗で。  同じ男なのに、なんでこんなに綺麗かな……。 「――――……綺麗、ここの色……」  思わず、ふ、と笑ったら、真っ赤になった。  首筋が弱すぎる優月。歯を軽く立てるだけで、大きく震える。 「ん……ぅン……」  下を激しく刺激すると、仰け反る。 「――――……もうイきそう?」 「………っ」 「ちゃんと言って」 「……っうん、イき、そう……」  ちゃんと、言う優月に、ふ、と笑んでしまう。  恥ずかしがるくせに、我慢したりしなくて、ものすごく素直。    つか、こんなの――――……どうしたって、可愛い、よな。 「ん。良く言えたな」  つい、そんな風な言葉が出てきてしまう。    普段、全く言わない言葉と、浮かばない感情に、自分でも戸惑うし、なんだか心の中が、くすぐったい。  それでも。目の前にいる、優月を見てると。  自然と、そうなってしまう。 「いいよ、ゆづき――――……好きな時に、イッて」 「……ん、んっ……っ……」  抱き締めてる腕の中で、びくん、と、震えて。  優月が手の中でイった。  震える体も。声も、上がった息も。  ――――……なんだろ、すげえ、イイかも。 「――――……優月」  どんな顔でイったんだろうと、自分の方を向かせると。  上気した頬と、涙が潤んだ瞳。    ……ヤバい。  ……可愛い。  キス、したい。 「……んン……っ……」  体、くっついてるのも。 「……裸でくっつくの、気持ちいい?」 「……うん」 「オレも、お前の肌、気持ちいい」  頭を、撫でてしまう。  そのままぼー、としてる優月の頭を洗い、自分も適当に洗うと、バスルームを出た。バスタオルで拭いてやって、バスローブを着せてやると、優月はくす、と笑った。 「何?」 「テレビとかでしか見ない」 「え?」 「バスローブって、着るの普通なの?」 「ああ、バスローブ…… 楽だから」  どうせ、すぐベットで脱ぐから服要らないし。  ……脱がせやすいし。そういう意味で楽。  色々思うけど、無邪気にふうん、と言ってる優月にはとりあえず黙っとく。 「バスローブなんて、実家にもないし、うちにもないし」 「――――……まあ、そっか……」  優月を鏡の前に立たせて、ドライヤーのスイッチを入れた。  風を優月にあてると、きょとんとした顔で振り返った。 「かけてくれるの?」  もうかけ始めてるのに、そんな質問。  オレが頷くと、優月はじっとオレを見つめてから、ものすごい、嬉しそうに笑った。 「……玲央、優しい。ドライヤーかけてもらうとか、髪切る時位」  前を向いて、鏡越しにオレに視線を向けて、にこにこ笑う。 「ありがと、玲央」 「……ああ」  さっきまで、あんなエロイ顔して、びくびく震えてたのに。  そんなのかけらもない顔で、微笑んでる。  ――――……いつもならざっと乾かしておわりなのに、  ……やたら丁寧に乾かしてしまった。  

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