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第45話◇

【side*優月】  バスルームを出て、バスローブなるものを着させられて。  何だか家ではあんまり日常的でなくて不思議で、少し笑ってしまった。  その話をしていたら、肩を掴まれて、鏡の方を向かされて。  玲央が、ドライヤーを掛けてくれる。  しかも、手が、すごく優しすぎて。  めちゃくちゃ丁寧に乾かしてくれて、立ってなければ、寝ちゃいそうな位、気持ちよかった。  ……優しいなー、玲央。  なんか、玲央がモテる理由って、見た目とかお金持ちとかバンドとか。それだけでもモテるだろうなあとか、思ってたけど……。一番の理由は、優しいからなんじゃないだろうか…。  美咲の超低評価がよみがえってくるけれど。  ……少なくとも、オレの前に居る玲央は、超優しい。  ソファでめちゃくちゃキスされて、手の中でしてしまったり。   強引なんだけど、優しすぎて、まったく抵抗できず……。  取ってくれたご飯も美味しいし。  ……食べさせてくれたり、玲央にも食べさせたり。  雰囲気が、優しすぎて。  あーなんか……やばいなあ。  こんなので、ずっと優しくされて。  ……最後までしちゃったりしたら。  オレ、本当に好きになっちゃいそうだなー……。  ……ほんと、やばいなあ。    ていうかさ、こんなに優しくしといて、好きになったらバイバイなんて、凄くひどいんじゃないだろうか。なんて事も、思ってしまった。  食事しながら玲央と話してるのが楽しくて、敢えて物凄くゆっくり食べていたけれど、さすがにもう無理になって、食事を終えて、片付け始めた。一通り、残っていた物に蓋を閉めた所で、玲央に右手を掴まれた。  もうそれだけで、心臓が跳ね上がる。  わー……やばい……。  人生で、初めて、こんなに、ドキドキしてるかも。  なんでだろ……。  ……男、無理、て、初めて会った時、オレ、普通に言ってたのに。 「続き、しよ?」  言われると、もう――――……すぐ頷いてしまいそうに、なる。  玲央に、触れられると、気持ちいいの、もう知ってる。  たぶん、何されても、気持ちいいと、思う。  ――――……けど。  ……オレにするのって、何が楽しいんだろ。  玲央がするばっかで、うまく応えられてるはずもないし。  初めてで、うまくできないけど、良いのかなと思って、そう聞いたら。 「知ってるけど。ていうか、別にうまくとか求めてねえよ」  即答してくれて。  それから、逆に聞かれた。 「――――……つかお前こそ、こないだまで名前も知らなかった奴に、色々されていいの? 男、無理って、最初言ってたよな……?」  そうだよ……オレだって、そう思うんだけど。  ………男無理って、こないだ言った。普通に。  だけど。  ふ、と玲央を見上げる。  嫌だって、言うな、て。  言われてる気がする。  何回も、キスしていい? 触っていい?て、確認してくれるけど……。  そんな瞳で、見つめられて。  ……嫌なんて、言える訳がない……と、思ってしまうのは……。  なんか、オレ、もう……。  玲央が、好きなんだろうと思ってしまう。  ……ていうか……。  オレ……好きじゃないと、そんな事、できない。  感覚で。  玲央には、触ってほしいって思っちゃったし。 「ベッドいこ?」  瞳も、触れてる手も、優しくて。  ……胸が、すこし、痛いけど。  見つめてると、顔が熱くなる。  ほんと、この人、カッコイイな……。  この瞳に、映ってるのが、なんか――――……嬉しくなる位。  ――――……頬にキスされて、ますます、恥ずかしくなる。   なんか浮いてるみたいな気持ちで、玲央に手を引かれて、寝室に連れてこられた。  大きなベッドが置いてあって。玲央が、小さなライトをつける。  妖しい雰囲気に、それだけで緊張する。 「……強張ってるし」  くす、と笑って、玲央がオレの手を、きゅ、と握った。 「――――……緊張しなくていいよ」 「――――……」 「お前が嫌がる事は、絶対しないから」 「――――……」  とくん、と弾む、心の中。  ふ、と笑う玲央の瞳から目が離せない。  ふわ、と唇が重なる。  すぐに激しくはならない。  めちゃくちゃ優しい、触れるだけのキス。  なんか、すごく、くすぐったい。

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