51 / 860
第51話◇
【side*玲央】
食事を終えて、寝室に優月を連れてきた。
見るからに、ものすごく、緊張してる。
でも、触れると、嬉しそうに表情が緩む。
――――……可愛いな……。
緊張しなくていいよ、と言ったけれど。
柄にもなく、珍しく、心臓がドキドキしてるのは、オレも一緒だった。
どう触ろう。
――――…いつもみたいに、慣れてる相手じゃない。
慣れたように扱ったら、嫌がるかもしれない。
キスは好きみたいで。イかされるのも嫌ではなそうだけど。
触れるだけの、優しいキスをしばらくしてから。
ゆっくり、深くする。
キスすると、すぐ、惚けた顔をする。
……可愛いよな……。
そう思う気持ちを、どうする事もできない。
「――――……っ……んン……ぅ……」
漏れる、声を、愛おしいと、思ってしまう。
「……っれ、お……」
名を呼んでくる優月が、可愛い。
バスローブの紐を解いて、前をはだけさせる。
「――――……」
肌、やっぱり、触り心地が良くて、気持ちいい。
――――……する、と脇腹から、背中に触れる。
ベッドに倒して組み敷くと、性急に触れたくなる。
けれど、何とか堪えて。深く深くキスをする。
「……ん、ん……っぁ……」
――――……上顎、舐められるの好きそう。
息が上がってく。……可愛い。
「……んんっ……ん、ふ……っは、ぁ……っ……」
息するだけできつそう。目を開けて、優月を見つめると、眉根が寄っている。
少し辛そうに歪むそれに、ゾク、と興奮する。
けれど、なんだか……ひたすら優しくしたくも、なる。
「……優月……」
「……ふっ……は……」
涙で滲んだ瞳で、必死に見上げられると。
胸の奥が、暖かくなる。
……なんでこんな可愛いかな…。
「だから……鼻で、吸ってみろって……」
クス、と笑ってしまう。
「いい? やってみな」
キスしながら、ちゃんと吸えるかを見てると。
視線を外せないみたいで、優月が見つめ返してくる。
すう、と、鼻で息を吸う優月。
「吸えるだろ?……あとはオレに合わせて口でも呼吸して」
「……むずかし……」
は。 かわいい。 難しい、か。
「数こなせば慣れる」
思わずクスクス笑って、またその唇に触れて。
「まあ、声が漏れてんのも可愛いからいーけど。 あんまり苦しくない方がいいから」
「……」
一生懸命見てくる優月の視線。
「……息出来るようにたまに離すから、合わせてみて」
自然と笑みが零れる。素直に、うん、と頷く優月。
キスして舌を吸うと、ぎゅ、とつむる瞳。
「……も……や……」
……早い……。
「……もう嫌?」
囁いて聞くと。
「……れおの、キス……気持ちよくて、もう無理」
嫌なんじゃなくて、気持ちよくて。という優月。
服を脱いで優月に体を寄せると、縋るように、触れられる。
なんでこんなに――――………。
可愛いと感じることばかり、するんだろうか。
縋り付いてくる優月を見下ろすと、なんだかものすごく、ぎゅっと瞳を閉じていて。ふ、と笑ってしまう。
力、入りすぎ……。
頬にキスすると、少しだけ、力が緩んだ。
どこから、何してやろう――――……。
なんだかものすごく、気持ちが上がる。
心地の良い肌をするりと撫でて。
胸の先端を、爪先で引っ掻くと――――。
びっくりした顔をして、優月が見上げて来る。
自然と、笑んでしまう。……どうしても、可愛く思えて。
オレが、普段、関係を持ってる奴に求めてるのは。
束縛しない。
干渉しない。
会った時に、楽しければいい。そんな関係。
オレが、しないようにしてる事。
可愛いとか、好きだとか、思わないように、セーブする。
もし思っても、言わない。勘違いの元になるから。
普段は、敢えて、言わないようにしている。
なのに。
オレ、優月に何回、
可愛いって言った……?
言葉に出したのは思わず出てしまっただけで。
――――……言葉に出さず、何回可愛いって思ってるのか。
優月に触れてると、可愛いしか、出てこない。
ともだちにシェアしよう!