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第55話◇

「……っゆっくりって、何……?」 「昨日、キスとか乳首が気持ちいいのは、分かったろ? オレにイかされるのも、少しは慣れたろ?」 「……っ……」  全然慣れてなさそうに、真っ赤になった優月にちょっと笑ってしまうけれど。 「オレ、もっと、お前の気持ち良いとこ、ゆっくり探したいし」  言いながら、優月の頭を引き寄せて、右耳に、ふ、と息を吹きかけた。 「っっ!」  優月は、びくっと大きく震えたと同時に、耳を押さえて後ずさる。 「――――……耳も、すげー弱いよな……」  押さえようと思っても、笑いがこみあげてきてしまう。  優月、一体どこまで赤くなるんだか――――……。  朝から憤死しそうなので、からかうのもそこまでにして、オレは立ち上がった。上半身裸だったせいなのか、優月が、ふい、と視線を逸らした。  ……ほんと。反応、新鮮。  最近は慣れた奴としかしてないからだろうか。  いちいち反応が興味深い。 「……優月、いつも朝食は食べる?」 「え?」 「いつも抜いてるか食べてるか、どっち?」 「食べてる……」 「分かった。下のカフェからとっとくから、シャワーあびといで」 「……うん」 「あ、服貸すからおいで」  言って、クローゼットを開いて、優月を引き寄せる。 「下着これ新しいやつ。服は好きなの良いけど――――……サイズは?」 「んー…… 小さめで、玲央があんまり着ないのは?」 「……これかな」 「ありがと」  渡された下着と服を持って、優月はオレを見上げてくる。 「ごめんね、オレ、寝ちゃった上に、泊めてもらって……」 「……だから違うって。寝かせてやったし、泊まらせたんだよ」 「――――……」 「する気ならできたし、寝かせないで帰らせる事だって、出来たっての」 「――――……」  言うと。  優月は、しばらくオレを見つめていたけれど。  急に、ふ、と笑った。 「やっぱり、玲央、優しいね。……ありがと」  嬉しそうにふわふわした顔で笑って、そんな風に言う。  ――――……これはやっぱり、どうしたって。 「――――……玲央?」  返事をせずに黙ってたオレを見上げてくる、優月の頭を撫でて、そのまま背中を軽く押す。 「……シャワー浴びてきな」 「うん」 「バスタオル、脱衣所の鏡の上に入ってるし、お前のズボンは乾燥機で乾いてるから」 「ん。ありがと」  フワフワした顔で笑ったまま、優月はバスルームへと歩いていった。  ……可愛い。  ……男なのに、なんであんな可愛いかな。  なんか朝から触り倒したくなってしまいそうで。  バスルームに追いやったけど。  ――――……ほんと、調子狂うな……。  ため息をつきつつ、服を着替え終えて。  朝食を頼むために、リビングに向かった。

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