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第63話◇
突っ伏したまま。どれくらい経ったか。
「……なあ、玲央さ、今日オレと一緒の2限からだよね」
「……ああ」
「何で今ここに居んの?」
「……今朝まで一緒にいた奴が1限だったから」
「……うわ、気持ち悪」
「……うるせ」
「……だって、その子の為についてきてあげたって事だろ?」
「――――……」
優月の為についてきてあげた、というよりは……。
オレが、ここまで一緒に来たかったからな気がする。
そう思いながらも、そんな事を言ったらますます勇紀が騒ぎそうなので、黙ってスルーした。
その時、またドアが開いた。
「おー、勇紀、早いな? ……って、そこにつぶれてんの、玲央か?」
「おはよー、甲斐。そう、これ、玲央」
甲斐の声がして、ため息。
なんでお前らこんな朝早くからここに来るんだ。
オレは、この時間、1人で考えるつもりだったのに。
「甲斐、1限は?」
「休講。最悪。……昨日掲示板見て帰るの忘れた」
「うわー最悪」
勇紀と甲斐の会話を聞きながら、斜め前に座った甲斐に顔を向ける。
「おす、玲央。 つか、なに、どーした?」
苦笑いの甲斐。その隣で、勇紀が笑う。
「なんか考え事してるらしいよ。整理したら話すっつーから待ってるとこ」
「へー。……なあ、颯也は来てねえ?」
「来てないけどなんで?」
「颯也、オレと同じ授業だし。多分昨日、掲示板見てねーと思うんだよな、言ってなかったし。あいつもこの時間空いたと思うんだけ…」
その時。がちゃ、とドアが開いて。案の定というのか、颯也が顔を見せて。
オレたち3人が揃っているのを見て、ドアの所で固まった。
「――――……何してんだ?」
「はは。おはよ、颯也。止まってねーで入ってきなよ」
勇紀が笑いながら颯也に話しかけてる。
「……甲斐は居るかなと思ったけど、勇紀も居たか――――……つか、玲央は、何してんだ」
「……」
朝は嫌だと、1限を取らなかった事を皆知ってるので、例にもれずこの反応。
「オレは彼女に付き合ってついてきただけ。 あ、玲央も、朝まで一緒だった子に付き合って、ついてきたらしいよ」
勇紀が言った瞬間。
甲斐と颯也が、は?と固まった顔で、オレを見た。
その顔を見て、勇紀がクッと笑い出した。
「……だよなー、そうなるよなー、はー、笑える……」
……なんでお前は朝からそんなテンション高くて元気なんだ。
突っ込みたいけど、それすら面倒。
「で、さっき甲斐にも言ったけど、玲央は、何か考えてて、整理中なんだってさ」
勇紀がそう言うと、すごい顔でオレを見ていた2人は、顔を見合わせて、肩を竦めてる。
「……つか、お前がこの時間にここに居る事自体、異常事態……」
颯也がため息とともに言う。
「なに。またすごいのに手ぇ出しちゃったとか? ストーカー化した?」
甲斐の言葉に、ため息をつきながら、首を振る。
「……つか、しばらく放置しといて」
それだけ返して、机に組んだ腕につっぷした。
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