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第82話◇
「優月……言う事、聞けるか?」
「……」
じ、と見つめてくる。
「……笑わないなら、聞く」
「……ん」
返事しながらも、ふ、と口元が緩んでしまう。
「なあ、オレ――――……バカにしてるとかじゃないから」
「……」
「……可愛く思ってるだけだから」
「……っ」
また赤くなる。
ほんと……可愛いな。
「優月、うしろ、一旦力入れて、締めてみな?」
「――――……っ」
息を潜めて、後ろに力を入れて締めて。
少しすると、ふ、と力が緩む。
「緩めるのこんな感じ。……覚えて」
「……っ……っ」
緩んだ中を少し進めて、ゆっくり慣らす。
「……ふ……っ……」
鏡に完全に上半身を預けて、腰だけこちらに向けてて。
泡だらけの、びくびく震える、体も。――――……全部エロ過ぎ。
このまま入れて、めちゃくちゃ揺さぶりたい。
なんて。
ヤバい衝動が、沸き起こるけど。
「――――……この、かっこ……っ恥ずかし……っ」
体勢だけで恥ずかしがってるし。
……こんなとこじゃ無理。分かってるけど。
「……中、痛くはないだろ?」
「……っ」
こくこく、頷いてる。が、しかし。
なんか――――……全身、力、入りすぎ。
「優月…」
耳元で囁く。びく、と揺れた体を後ろから支えて、空いていた左手で胸に触れた。
「……っあ」
胸の先端を刺激すると、短く声が上がる。
胸に気を取られてる間に、少し奥まで挿し入れて中を慣らしていく。
「……んっ……や…」
両方の刺激に耐えられないのか、ぶるぶる首を振ってる。
「――――……指2本入れたけど……痛い?」
「……っ」
首を横に振ってる。
「我慢できてエライな、優月……」
くす、と笑ってそう言うと。後ろがきゅ、と締まった。
――――……なんかもう、小さな反応すら全部可愛い。
「……優月……泡流すよ」
「……っ」
「指抜くから。……力、抜いてみな」
「……っ」
ゆっくりゆっくり、力を抜いた優月。そっと、中から指を抜いた。
体の泡を流して、中の泡も綺麗に流して。
真正面から向かい合って、ぼうっとした顔してる優月に、クスクス笑ってしまう。笑うなと言われるけれど……可愛くてしょうがない。
「……どうだった?」
「……どうだったって……」
困ったみたいにオレを見上げ。
それから、んー……と考えて。
「……入る、んだって……びっくり……」
あ、そこの感想か。
気持ちいいとか、気持ち悪いとか、じゃなくて。
入るかどうか、が来るわけね。
くす、と、笑ってしまうと。
「……っ……何で玲央って、笑うの?」
あ、また拗ねた顔してる。
「玲央、昨日もよく、笑ってたし。こういう時、笑うもの……?」
「――――……普段あんま笑わねえけど」
今だって、こらえなければ笑ってしまいそう。
「……可愛くて、笑ってる」
「玲央、可愛いって、めちゃくちゃ言うんだけど――――何が……」
「……何がって――――……全部……」
……ああ、オレ。
普段誰にも……可愛いとか、言わないようにしてんのに。
全部可愛いとか、もう、ほんと、何言ってンだ、オレ。
しかもめちゃくちゃ言うとか、優月は言ってるけど。
オレ、思った回数の半分も、言ってないはず……。
「――――……」
ちゅ、とキスして。
深く唇重ねると、息をするのに一生懸命。
でも少し、舌で応えてくるようになった気がする。
……可愛すぎ。
なんでこんなに、ツボなんだろ。
よく考えたら、学校で会った奴にいきなりキスして誘うとか。
さすがに、あんな事、初めてだったし。
……乱したら、どうなるかなんて、
そんな風に思ったのも、初めてだった。
初めて会った時から。
笑った顔に、惹かれて。
……触りたいとかキスしたいとか。
――――……なんか、特別だったんだな、と改めて思ってしまう。
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