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第84話◇

 ……覚悟を決めて。  あ、と口をあけて、ぱく、と含む。 「無理して入れなくていいよ。先なめて。吸ってみ」 「……ん――――……」  しばらく、続けてみる。  触り方、吸い方で、反応するとこと、しないとこがあるのは、何となく分かるような気がする。  ぴく、と反応して震える事を、ひたすら続ける。 始めてすぐに硬くなってくる。 「……ん、そう。上手、ゆづき」  は、と玲央の息が荒くなる。  何か――――……玲央の声が、上擦るの。 嬉しいな……。 「口に入れて、オレがキスする時に舌で触るとこに当てて? 分かる?」  こく、と頷く。 「……少し奥入れて――――……上顎、それで擦って」 「……っん゛……っ……」  一瞬、咽せる。  でも、ふ、と息を吸って、ゆっくり、押し当ててみた。  いつも、玲央の舌が、擦ってくれるところ……。 「……ん、んっ……――――……」  ぞくん、とした感覚に、ぎゅ、と目をつむる。 「……ん、……んっ……ンん…」  玲央がますます、大きくなった気がする。 「――――……優月……ちょっと――――……がまんできる?」 「……っ……ん……」  こく、と頷くと。  軽く頭を押さえられて。口の中に、それを少し奥まで挿し入れられた。 「……ん゛っ……」  少し抜いて、また入ってくる。舌と、上顎をそれでゆっくり侵される。 「んう……っ……んん……」 「――――……少し我慢して」 「……っ――――……んっ……」  ゆっくり、動かされる。  口の中使って、玲央に、抱かれてるみたい、なんて、思ってしまう。  なんか。  ――――……頭、へんになりそ……。  口の中で玲央が震えて。かと思ったら、ぐい、と口から抜かれて。玲央が外に出してしまった。口の中に何とも言えない味が残る。 「……少し中に出しちゃったな……悪い」  口に指が入ってきて、あーん、と口を開けさせられた。 「……中、に…出して良かったのに」 「――――……ん?」   「……玲央、飲みたくなる気持ち分かるって言ったのに」 「――――……ああ……」  玲央が、クス、と笑う。   「……そんな急に色々しなくていいって」  よしよし、と撫でられて。  あやされてるみたいで、じっと玲央を見上げる。  ――――……慣れてる、他の人なら、普通にする、のかな……。 「優月、あーんして。すすぎな」  言われて口を開けると、弱い水流のシャワーが口に入ってきた。少しだけぶくぶくして口をすすいだ。  バスタブに腰かけたままの玲央の前に、ペタン、と座っていると。 「頭洗ってやるよ」  シャワーを掛けられて、それから髪の毛を洗われる。 「目つむってな?」  言われて、目をつむったまま。  優しい手つきで、洗われる。  ……優しいな……。玲央。 「……玲央ってさ」 「ん?」 「何でそんな、優しいの?」 「……オレ、優しいか?」  意外そうな声が聞こえる。 「え」  え。……優しいよね。  めちゃくちゃ優しいと思うんだけど。  ……むしろ、こんなに優しく触ったり、笑ってくれる人居るんだって位、  優しいんだけど。  目が開けられないので顔見れないのだけど。 「……優しいよ?」 「――――……」  なんでか答えが返ってこない。もしゃもしゃ、頭、洗われ続ける。 「……玲央……?」 「――――……そーいや、会った時も、そんな事、言ってたな……」  ……そういえば。優しいって言った気がする。    ……むやみにエサやらない方がいいとか。やらなくなった時クロが困るとか、言ったからだ。めちゃくちゃ優しく、クロに話しかけてたし。  玲央、最初から優しかったなー……。  

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