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第87話◇

【side*玲央】  バスルームでキスして触ってたら、あっという間に昇りつめた。  ……敏感すぎるよな……。  優月はこういう事すんの、全部オレが初めてな訳だけど。  ――――……もともとすげえ敏感なのかな?  女抱くより、男に抱かれる方が向いてそう……。なんて思ってしまう程。  乳首も、最初から、良さそうだったし。  下はもう、ほんと快感に弱いというか。  ……多分、自分でやる時、あんまり快感を追ってこなかったんだろうな。  いくら人に触られるのが初めてと言っても、弱すぎ。  触れたり舐めたりする所、どこもかしこも、  反応しすぎ。    キスだけでも――――…… 弱すぎ。  昇りつめた優月にキスしたまま。  呆然としてる優月から、唇を離すと。すごくびっくりした顔。 「……優月?」 「――――……っ……早すぎ……ない? オレ……」  早すぎる事に驚いて、恥ずかしくなってるらしい。  どんどん俯いていく。 「……はずかし――――……」  顔が見えなくなる前に、顎を捕らえて顔を上げさせた。  赤い……。 「――――……ちゃんと、オレにされるの気持ちいいって覚えてたんだろ」  言って、頬に口づけると、ますます赤い。  けれど急に、されっぱなしが嫌だから、オレもする、と言い出した。  できるのか……?  もともと「男、無理」と言ってたのに。  ――――……無理しなくていいのに。  そう思ったけど。  めちゃくちゃドキドキしてそうな顔で、でも、やる、とノリ気なので、とりあえず始めさせた。  最初は優しく、簡単なやりかたを教えてやって。  何だか一生懸命すぎて――――……可愛すぎて。  途中から、やたら熱くなってしまって。  ギリギリ外に出したけど――――……。  中に出して良かったのに、とか言うし。  ほんと……。  気持ちよい事に弱くて。可愛くて。  素直で。 「何でそんな、優しいの?」  しまいには、そんな風に聞いてくる。 「……オレ、優しいか?」  聞くと、不思議そうにした後、頷く。  優しい――――……か。  確かに、優月に触れてると、和みすぎて。  ……可愛いしか思ってねえし。  でもって、触りたくて、乱したくて。  触っても、とにかく可愛くて。  ……確かに優しくしか、してないかも。  優月が髪の毛を洗い、流してくれて。  優月を見上げたら。  ぽけ、と見つめられてて。目があった瞬間、狼狽えられると。  ――――……何か、本当に可愛くて。  引き寄せてめちゃくちゃ、キスした。  最初見つめあっていたけれど、すぐ目をつむって。  うっとりしてるし。  ドライヤーしてても、急に笑い出して。 「優しすぎ、玲央……」  なんて、言ってくる。  ――――……つーか。  ……確かに、何かオレ、すげえお前の世話してる気がするけど……。  それもこれも全部。 「……お前が、可愛いからだし」  また、口に出して言ってしまう。  可愛い。  ――――……何でこんなに、と思うほど。  ……男、興味本位で抱いて、別に悪くなかったから何人か付き合いあったけど。  こんなに可愛いって思ったのは初めてで。  ……つか、女含めて、ここまで可愛いと思った事、あったかな……。  ベッドで優月を抱き締めて、キスしてると。  最後までするなら、心の準備をすると言い出した。  バスルームで後ろに指は入れたけど。  入った事に、驚いてたし。    めちゃくちゃ、入れたいとも思うけど――――……。  入れてほしいと泣くくらい。慣らしてから。  ……したい気もする。 「いっこずつ丁寧に覚えさせて――――……体全部、オレのにしたい」  本当にそう思ったから、そう言った。  真っ赤になった優月。  もう今も気持ちいいとか、可愛い事を言ってる優月に。 「気持ちいい事、いっぱい覚えろよ」  そう言ってキスした。    人とベッドに入って、そういう事をしてんのに、最後までしないなんて、マジであり得ない。  きっと今すぐしたとしても、気持ちよくしてやれるとは、思うのだけれど。  オレがする全部、気持ちいいって受けとめられるように。  めちゃくちゃ、慣らしたい。  優月からしてって言うまで、めちゃくちゃに蕩けさせてから。  やりたいって気持ちが強くて。    きっと相手が優月じゃなかったら、ベッドに入って、最後までしないとか、逆切れされるだろうなとも、ちらっと掠める。  ……こんな事を考えるのも初めてで、自分でも、正直、よく分からない。

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