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第88話◇

 それから、めちゃくちゃキスしながら、優月の体に、触れた。  何をしても、びくびく、震えすぎ。  何度か分からない位、イかせて。喘がせて。抱き付かせて。  もう無理、と落ちそうな優月に気付いて、昨日と同じで、一緒にイって、終わりにした。  またしても、目があけてられないと言った風で、ふ、と意識を手放した感じ。 めちゃくちゃ、ぐったりしてる。  しばらく、頬に触れ、髪を撫でて、見つめて過ごした。  無邪気な寝顔が、可愛く見えてしょうがない。  シャワーを浴びてから、優月を軽く清めて、同じ布団に脚だけ入れて座ったまま、ぐっすり眠ってる優月を見下ろす。  2日続けて、同じ奴と過ごすの、久々。  ……可愛いとか、こんなに思うのも、相手に、言ってしまうのも。  勘違いさせないように。執着させないように、余計な事を言わないで付き合って来たのに。  ……なんか、優月なら、大丈夫なんじゃないかと――――……。  思っちまってるのかな。  可愛いと、優月に言っても。  あんな風に、モメたりすることには、なんねえかな、とか。  まだ会ってからほんの数日。  1日目は、ほんの数分。で、昨日と今日、夕方から過ごしただけ。  一緒に過ごした時間、ものすごく、短い。  まだどんな奴か、分かったと言えるほどの時は、過ごしてない。  ――――……つーか。  セフレが嫌だとか。  ――――……体全部オレのにしたいとか。  よっぽどオレの方が、執着してる気がする。  なんだ、オレのにしたいって。  ……何言ってンだ、オレ。  自分が、とんでもない事を言ってるのに気づいた。  セフレは、お互い干渉しない、束縛しないって。  ……どの口が言ってんだ。  ――――……つか、この関係をセフレにしようっつったのは、優月で。  ……オレじゃねーし。  1日中モヤついていた事が、またよみがえってくる。  ――――…………お前、ほんとに、セフレでいーの?  そっと、頬に触れる。  でも……よく考えたら、こいつって、なんでオレと会ってんだ。  男無理って言ってたし。もともとは、男は対象外なんだろうし。  オレを見てすぐ赤くなるし、態度を見てても、好意はあるんだろうけど…。  「セフレ」って。  優月の、柄じゃねえよな。    真剣にお付き合いした人としか、そんな事はしませんって、  そういう事を、誰よりも言いそうなタイプな気がするのに。  …………付き合ってください、じゃなくて。  セフレにして下さいって。  …………良く考えたら、マジで、何だそれ?  優月は、オレが他の奴抱いても、全然良いって事か?  ……そこまで考えてないとか?  ……オレも、確かに、「寝てみないか」っていう誘い方、したし。  だとしたら、今って、「寝てみてる」だけ……か?  優月、最初に会った時、オレと一緒に居たいかも、て言ったよな。  ……居たい、かも。  ……かも。  ――――……ちょっと意味わかんねえ。  考えてる事全部、全く答えも出ないし、考えていても意味すら分からない。  知らず長いため息をついて。  肘をついて、優月の方を向いて、横になった。空いてる手で、優月の髪や頬に触れる。  そもそも何をどう考えたいんだか、よく分かんねえな。  なんだかものすごくモヤモヤするのだけれど。  無邪気な寝顔をじっと見てると、ふと、口元が緩む。  それに気づいて、少し顔を引き締めて。  またよく分からない感情にモヤモヤしながら。  かなりの時間、優月を見て過ごしてしまった。

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