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第90話◇

  「何で、背中向けたんだよ?」 「え。……何となく……?」 「ふーん?」  耳元でクスクス笑われると。  くすぐったい。 「……ちょ、と、くすぐったい」  肩を竦めると、ちゅ、と耳にキスされる。  びく。 「……れお……?」 「――――……」  胸の前にあった手が、バスローブから中に入ってきて。  胸をするりと、撫でた。 「……っ……?」  後ろの玲央を振り返ろうとするけれど、乳首をきゅ、とつねられて、唇を噛んで俯いた。 「っ……れお?」 「……ここ、気持ちよくなってきた?……」 「……や……」  両方触れられて、首筋に軽く噛みつかれて。  ぞく、として顎が上がる。  気持ちよくなってきたっていうか……。  最初から、気持ち、よかったし……。 「……ん、ン……っ」  玲央の手、押さえて、止めてしまう。 「……や……」 「――――……嫌か?」 「……すぐ――――……」 「すぐ、なに?」 「……ぞくぞく、しちゃうから……っ」 「して良いよ」  首筋に沿って舌を這わされて、びく、と震えてしまう。  片手が、不意に下に回って、もう反応し始めてたソレを、握りこまれて。 「……っ……やっ……」 「――――……」 「……なん、で……オレ、ばっかり……」 「――――……ん?」  不思議そうな声を出した玲央が、オレの肩を掴んで、仰向けに寝かせる。ベッドに背を沈めたオレの上に、玲央が覆いかぶさって、上からじっと見つめてくる。 「……どういう意味?」 「……だって……オレ、ばっかり、気持ちよくなって…」 「わざとそうしてるんだけど……?」  「……ちゃんと、最後まで、して、いいのに」  そう言ったら、玲央は、少し黙った後、クス、と笑った。 「……言ってんじゃん」 「――――……」 「お前がしてほしいって言うようにしてから、したいって」 「――――……」 「それまで、慣らさせろよ」 「……玲央がやじゃないなら……良いんだけど……」 「嫌じゃない。……つか――――……そうしたいって言ってんだろ。お前は、オレのする事に、ちゃんと反応してればいいから。な?」 「……ん」 「気持ちよかったら、素直にそう言って?」 「……うん」  頷いていたら、玲央のキスが唇に降ってきて。  深く舌を絡め取られながら、下も弄られて。 「ん……っ……んん……」  どっちも気持ちよくて。  ぶるっと震えて――――……玲央の手であっという間に昇りつめてしまう。 「……反応よくなってきたよな……」 「………っ……」  玲央がティッシュで手を拭いてるのを、目の端にうつして。  上がった息を、手の甲で押さえる。  ……良くなってきた、どころじゃない。  ……こんなのばっかり、されてたら、おかしくなる。 「なあ、優月?」 「……ん?」  少し玲央の声の調子が変って。  真剣な感じの声に、ふ、と見つめ返す。 「……お前さ」 「うん?」 「セフレって、意味分かってる?」 「――――……」  ……え。  今さら、その質問……?  セフレの意味……って。  ……何が聞きたいんだろ?  何だかものすごく真剣な瞳で見つめてくる、整った顔を。  ただ、見つめ返して、数秒を過ごした。

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